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<再処理機構>「原燃引き締め」未知数

 3日に発足した認可法人「使用済燃料再処理機構」(青森市)は、核燃料サイクル事業の新たな中核組織となる。再処理費用を確保し、日本原燃の監督も担う。ただ機構が、成果を出せない原燃の手綱を引き締め、事業を着実に推進できるかは未知数だ。
 機構設立の背景には、サイクル事業継続への国の懸念がある。再処理工場(青森県六ケ所村)の度重なる完成遅れに加え、原発停止や電力小売り自由化で電力各社の経営環境も激変。認可法人化することで国の関与を強め、電力各社が機構に再処理費用を拠出することを義務付けた。
 開所式に出席した電気事業連合会の広江譲副会長は「自由化による激しい競争で、電力業界を取り巻く環境は厳しい。機構設立はまさに懸念に対する回答だ」と強調した。
 受託事業者となる原燃は再処理工場の完成時期を23回も延期。企業統治(コーポレートガバナンス)の脆弱(ぜいじゃく)性も指摘されてきた。
 それでも同社の工藤健二社長は9月下旬の定例記者会見で「安全に関することは任せてもらえると思う」と自負をにじませた。
 井上茂理事長は原燃について「生え抜きの社員も増え、技術力は向上しており信頼している。管理監督していきたい」と言う。
 ただ県内の原子力関係者は「機構は出向者ばかりで実務の知識は原燃が上。どれだけ主導権を握れるかは分からない」と指摘する。
 機構にとって地元との意思疎通も重要課題だ。県が求める立地基本協定締結に関し、井上理事長は「真摯(しんし)に検討していきたい」と前向きな考えを示した。
 意思決定を担う運営委員には原子力関係者のほか、弁護士や公認会計士、研究者ら有識者が就任。地元からは塩越隆雄東奥日報社社長が就いた。

[核燃料サイクル]原発の使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムやウランを混合酸化物(MOX)燃料に加工して再利用する国のエネルギー政策。MOX燃料を高速増殖炉で使う「高速増殖炉サイクル」の実現を目指したが、原型炉もんじゅは廃炉前提の抜本見直しとなった。国は代替策として、一般の原発(軽水炉)でMOX燃料を使う「プルサーマル発電」を進めるが、原発の再稼働は進まず、青森県六ケ所村にある燃料再処理工場も本格稼働の見通しが立たない。

 ◇使用済燃料再処理機構人事(3日)
 理事長 元東北電力副社長井上茂▽理事 元東京電力常務執行役村永慶司、公認会計士関口恭三、九州大教授出光一哉、関西電力副社長豊松秀己▽監事 弁護士山上圭子▽運営委員 ボストンコンサルティンググループシニア・パートナー兼マネージング・ディレクター秋池玲子、前原子力委員会委員長近藤駿介、東奥日報社社長塩越隆雄、太平洋セメント相談役徳植桂治、公認会計士永田高士、外務省参与中根猛、東京大大学院教授山口彰、弁護士四元弘子


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2016年10月04日火曜日


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