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<介護予防移管>既存の支え合い生かそう

大坂純(おおさか・じゅん)仙台市立病院で約20年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。2007年から仙台白百合女子大教授。仙台市の社会福祉法人「ありのまま舎」理事長も務めた。専門は社会福祉学、地域福祉学など。仙台市出身。60歳。

 介護予防サービスの移管に向け、宮城県は昨年10月に市町村を支援する「地域支え合い・生活支援推進連絡会議」を設立し、新たな地域サービスの調整役となる「生活支援コーディネーター」養成研修、アドバイザー派遣などに取り組んでいる。委員長の大坂純仙台白百合女子大教授に、目指すべき将来像を聞いた。

◎震災被災地が全国のモデルに

 新制度が目指すのは、支援が必要になった高齢者も暮らしていける「地域づくり」の発想だ。国が示すサービスの類型を新たに作るのではなく、お茶会や見守りなど既存の支え合い活動を生かし、生活を支援できる仕組み作りだ。
 役所によるトップダウンではうまくいかない。生活支援コーディネーターを配置し、地域をよく知る住民らで「協議体」を設け、自分たちでできることや地域課題を話し合っていく。今ある支え合い活動を認め、時間をかけてさらに育てていくことだ。
 住民からは「年寄りしかいないのに何をやれと言うのか」と反発されるが、犬の散歩中に支援者を見守るなど普段やっていることを生かせばいい。地域差はあるが、過疎地にも都市にも住民同士の助け合いはある。地域の生活を見直せば「やれる」と思えるはずだ。
 「長年介護保険料を払ってきたのに、今更地域で支えろというのはおかしい」との批判もある。だが、高齢化で保険料はさらに上がり、現行の5000円程度から2025年には8000円まで上がる試算だ。何もしなければいずれ保険料として跳ね返ってくる。
 介護人材も足りない。支え合う体制作りで保険料を抑え、本当に介護が必要な重度の人をプロにケアしてもらう。自分が介護が必要になった時に、支えてもらえる制度の維持にもなる。介護事業所にとって十分採算が合う報酬体系を整えることも必要だ。
 宮城は東日本大震災の被災者を支援する人材を育成した経験があり、生活支援コーディネーターになった人もいる。人口減少や高齢化が進む被災地でいち早く取り組むことが、全国の先例になる。


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2016年10月05日水曜日


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