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<ほっとタイム>受け継いだ味 伝える

はらこめしを盛り付ける菊地さん

◎1日限りのはらこめし

 宮城県亘理町の荒浜漁港で8日にあった水産まつりで、東日本大震災の津波で全壊した地元の旅館「菊地屋」のはらこめし弁当が1日限りの復活を果たした。明治半ばの創業から数えて4代目の菊地正博さん(69)と家族が腕を振るった。
 菊地屋のはらこめしはサケの煮汁ではらこを半熟にするのが特徴。とろっとした食感がある。冷蔵庫がない時代に生まれた保存の知恵で、硬くなりすぎないよう煮るのが難しいという。
 受け継がれた味は旅館の常連を中心に根強いファンがおり、用意した25食は完売した。この日の販売を提案した地元の牛乳店経営の青田和宏さん(63)は「懐かしい味」と笑顔で語る。
 内陸で避難生活をしていた菊地さんは昨年、荒浜に自宅を再建した。宿の跡は更地の状態。周囲は復興工事のダンプカーが行き交い、2階から見えた静かな鳥の海湾は失われたままだ。
 「今できることは、郷土の味を伝えていくこと」。菊地さんが小さな折り詰めに込めた思いだ。(亘理支局・安達孝太郎)


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2016年10月09日日曜日


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