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<苦闘 梨田楽天>若手積極起用 土台築く

西武25回戦で今季2本目のランニング本塁打を放ち生還する茂木(右)。思い切りの良い打撃で遊撃の定位置をつかんだ=9月19日、西武プリンスドーム

 今季新たに梨田昌孝監督を迎えた東北楽天は2年連続の最下位から脱出し、5位で2016年を終えた。3季ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を目標として開幕直後、一時は単独首位に立つなど好スタートを切った。だが、投打に次々とほころびが出た5月、泥沼の9連敗を喫して最下位に転落し、最後まで下位から抜け出せなかった。理想と現実の間でさいなまれた梨田楽天1年目の投打にわたる苦闘を振り返り、来季へ向けた課題を探る。

◎1年目振り返る(下)新たな芽

 「過去数十年さかのぼってもないだろう」。梨田昌孝監督らしい柔軟な発想が光ったのは5月31日、コボスタ宮城に阪神を迎えた交流戦の初戦。ドラフト1位オコエ瑠偉、2位吉持亮汰、3位茂木栄五郎、6位足立祐一の4人を先発起用し、守りで重要とされるセンターラインを新人で埋めた。

<茂木 定位置つかむ>
 結果は上首尾に終わった。オコエ、吉持、茂木が計7安打を放ち、足立はリードでエース則本の9回1失点の好投を引き出し快勝。若手の活躍が刺激となり、投打の歯車がかみ合わなかったチームは息を吹き返した。交流戦を11勝7敗と勝ち越した。
 主力のけがや不調が重なり、若手を使わざるを得ない側面はあった。しかし、「来季以降のチームの骨格になってほしい。その土台を築いてほしい」という長い目で見たチームづくりの考えが根底にあった。
 新人の中で、目を見張る活躍をしたのは茂木。球団史上初めて新人野手として開幕戦で先発出場し、チームのアキレス腱(けん)だった遊撃の定位置をつかんだ。思い切りの良い打撃で打率、打点などほとんどの球団新人記録を更新し、新人王の有力候補になった。
 ほぼ経験のなかった遊撃の守備を、春季キャンプでいち早く取り組ませた指揮官の先見の明が生きた。当初は今江敏晃と三塁を争うつもりだった茂木は「下手くそな守備に目をつぶって使ってもらった」と感謝する。
 捕手出身だけに、扇の要の起用法にもカラーが出た。嶋基宏が左手骨折で2カ月離脱する間、足立を代役に抜てき。順当なら12年目の川本や9年目の伊志嶺忠になるが、連敗が続いても辛抱強く固定した。嶋が来季を32歳で迎えるため、次代の正捕手育成に重きを置いた。
 後半戦は嶋をメインに、足立との併用に切り替えた。「勝率5割以上を残しているチームなら1人に任せても良いが、負けているチームでずっと1人というのはおかしな話」。実績も人気も抜群の主将ですら競争させ、適度な緊張感をもたらした。

<来季は勝負の年に>
 オコエは高卒新人ながら1軍で130打席を経験し、初本塁打をマーク。高卒2年目の安楽智大は後半戦で先発枠入りし、3勝を挙げた。高卒5年目の三好匠も二塁、遊撃で藤田一也、茂木栄五郎に次ぐ存在として活躍した。天然芝に変わった本拠地球場に次々と生まれ出た芽は大きな期待を抱かせる。
 しかし、若さだけに頼って、上位進出は望めない。東北楽天の元投手で解説者の山村宏樹氏は「攻撃陣は新外国人アマダー、ペゲーロ、ペレスが日本野球への順応を見せる光明はあったが、日本人の中堅、ベテランの奮起は必須。投手陣は則本に次ぐ先発陣の層の薄さは否めず、フリーエージェント(FA)選手の獲得やドラフトによる強化は欠かせない」と指摘する。
 5年ぶりの現場復帰となった梨田監督。今季は戦力の把握と将来への種まきに終始した感がある。かつて率いた近鉄、日本ハムでリーグ優勝を果たしたのはいずれも就任2季目。来季はまさしく勝負の年となる。(佐藤理史)


2016年10月09日日曜日


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