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<手腕点検>高い発信力支援を呼ぶ

台湾からの来客と笑顔で握手する佐藤町長=9月17日、南三陸町志津川

◎2016宮城の市町村長(13)南三陸町 佐藤仁町長

 南三陸町の佐藤仁町長(64)は3日から1週間、兵庫県と大阪府に滞在した。東日本大震災後に職員派遣を受けた12市を回り、派遣への感謝と継続をお願いするためだ。
 1年をかけ全ての派遣元を訪ねる。会社を経営し、商工会長も務めた経験からか「物出しより顔出し」(町幹部)とフットワーク軽く全国を回り、人脈をつくる。派遣職員は51自治体から106人。被災地でマンパワー不足が叫ばれる中、職員充足率は98%に上る。

<台湾と交流生む>
 派遣職員の支えもあり、最優先の住宅再建に一定のめどが付いた。738戸を整備する災害公営住宅は本年度中に全て完成する。
 「被災程度から見れば、復興事業は早い」と後援会の山内正文会長(67)。星喜美男議長(66)も「復興事業を進める一方で、将来につけを残さないよう公共施設の整備に慎重な部分もある」と評価する。
 高い発信力は国内外から多くの支援を呼び込んだ。昨年12月に再建した南三陸病院の建設費50億円超のうち、22億円は台湾紅十字組織からの支援。今夏には台湾の学生が、町内で就業体験や民泊を行う交流も生まれた。
 一方、地元では町民への説明不足を指摘する声が多い。JR気仙沼線のバス高速輸送システム(BRT)での本格復旧について昨年7月、沿線自治体で初めて受け入れる方針を表明したが、それまで住民との協議の場は設けなかった。この点を町議会で問われ、「鉄路復旧には400億円の地元負担が必要で、町が破綻する。可能性がないことは議論しない」と答えた。
 鉄路復旧を訴える住民団体の小野寺寛代表(68)は「移設せず、現状路線の復旧なら費用は圧縮できる。全ての可能性を検討したのか」と不満を漏らす。

<「増える謝罪会見>
 2015年の国勢調査で人口は1万2375。流出が続き5年間の減少率は29%に及び、介護保険料は県内トップ水準だが、超高齢化社会への青写真は描けていない。
 登米市の仮設住宅に避難し、4月から町で暮らす佐藤清太郎さん(73)は「戻ったはいいが、高齢者が暮らすにはやはり不便。町をつぶさに回って町民目線の課題に目を向けてほしい」と訴える。
 謝罪会見を開くことも増えた。防災集団移転団地の志津川中央地区で6月、擁壁の施工不良が発覚し、引き渡しが1カ月遅れた。8月には条例に基づく諮問機関の開催を失念し、コンビニでの住民票交付ができない事態が生じた。
 「役場内に気の緩みがある。町長不在が続くのはどうか」。星議長は例年通り全国行脚を続ける町長に苦言を呈する。
 10年間の復興計画期間が折り返しを迎え、3期目の任期は残り1年。町民との対話を通し、復興後の町の在り方を示していくことが今、求められている。(南三陸支局・古賀佑美)


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2016年10月10日月曜日


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