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<台風10号>安家地大根 被災乗り越え出荷

安家地大根を収穫する大崎さん=12日、岩手県岩泉町安家

 岩手県岩泉町安家地区の伝統野菜「安家(あっか)地大根」が、台風10号の影響を乗り越えて今年も販売される。出荷を担う町の第三セクター岩泉産業開発が被災して諦めかけていたが、盛岡市の団体が協力に名乗りを上げた。地元で冬の保存食として受け継がれ、鮮やかな紅色の皮と強い辛みが特長。16日に盛岡市中央卸売市場で開かれるイベントで約200本が並ぶ。
 安家地大根は20年ほど前から岩泉産業開発が農家から集荷し、毎年約2000本を首都圏などへ出荷。通信販売の価格は1本200円程度だった。台風の浸水被害で同社の集荷車両や保存用冷蔵庫が破損。農家の一部で畑が泥をかぶるなどの被害があり、今年の出荷は断念していた。
 今月初め、安家地区にボランティアに入った盛岡市の一般社団法人「アースメイト」の吉田光晴代表理事(38)が、被害を免れた大根約1000本の収穫と販売の協力を申し出た。
 同団体は市中央卸売市場で障害者の就労支援に取り組む。農家から安家地大根を買い取り、16日に市場で開催される「もりおか市場まつり」で約200本を販売する。残りはいわて生協に出荷する方針。
 安家地大根は繊維質に富み、貯蔵性が高い。強い辛みとともに、ほのかな甘みがある。鮮やかなもみじおろしにもなり、そばなどの薬味に最適。地元ではしみ大根にして食べられてきた。
 戦後、青首大根の普及に伴い生産者が減ったが、2005年にイタリアに本部を置くスローフード協会が未来に残すべき食材として「味の箱舟」に選定。地区内に保存会ができ、現在は約30軒の農家が生産する。
 安家地区氷渡(すがわたり)集落の農業大崎レイ子さん(80)は、自宅に隣接する畑で約300本の安家地大根を育てる。「自家用以外は廃棄するしかないと思っていた。種から育てたかわいい作物なので、出荷できてほっとした」と笑顔を見せた。
 アースメイトの吉田代表は「泥かきなどのボランティアに比べ、産業の再生支援は後回しになりがちだ。地域で守ってきた野菜を応援したい」と力を込める。


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2016年10月13日木曜日


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