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<五輪会場変更>選手の思い無視 長沼に難色

大久保尚武(おおくぼ・なおたけ)積水化学工業相談役。ボート選手として1960年のローマ五輪でかじ付きフォアに出場した。札幌市出身、東大卒。2004年6月、日本ボート協会会長に就任した。76歳。

 日本ボート協会の大久保尚武会長が13日、河北新報社のインタビューに答え、2020年東京五輪・パラリンピックのボートとカヌー・スプリント会場を巡り、東京都が都内から宮城県長沼ボート場(宮城県登米市)への変更を検討していることについて「選手たちの五輪への思いが無視されている」と批判した。長沼開催には会場を五輪用に仕上げる作業の難しさを指摘し、「工事が五輪に間に合うだろうか」と懸念を示した。(聞き手は東京支社・剣持雄治)

◎日本ボート協会 大久保尚武会長に聞く

 −東京都の調査チームによる五輪会場見直し作業をどう受け止めているか。
 「一言の相談もなかった。(小池百合子)知事はアスリートファースト(選手第一)と言っているが、まともに選手の意見を聞いていない。経費削減が優先され、アスリートの五輪への思いを無視している」

 −都内の海の森水上競技場の代替地に長沼が浮上した。
 「国際ボート連盟の施設責任者が20回ほど来日して長沼を含む国内9コースを視察し、海の森を最適と判断した。風や波の影響を緻密に計算し、レースに影響が出ないように会場を設計した。プロ中のプロが3年をかけて調べた。(変更案は)長沼を直接見たことない人たちが書類上でやっているように感じる」

 −村井嘉浩宮城県知事が「復興五輪」の意義を強調し長沼開催を要望した。
 「復興五輪には事前合宿の誘致などで協力したい。選手村が分村となって他競技と切り離されれば世界選手権などと変わらなくなってしまう。選手村は他競技の選手から学ぶ貴重な場だ。私は射撃の選手が早朝から伏射の姿勢で練習を積んでいた姿が忘れられない。重量挙げの三宅義信さん(宮城県村田町出身)とも話し、競技に懸ける意気込みを知った」

 −仮設住宅を宿泊施設に再利用する案が出ている。
 「世界中の選手がどう受け止めるか心配だ。海外の選手は身長2メートルほどがほとんど。普通のベッドでは過ごせない」

 −長沼開催には、観客席や伴走路など五輪専用設備が必要になる。
 「コースの中央部に風の吹き抜ける部分があり、横風の影響を抑えるための対策なども必要になる。準備工事が五輪に間に合わないのではないかと懸念する」

 −海の森開催の意義は。
 「五輪後にも国際大会を誘致しやすくなる。国際連盟は日本で(恒久的に)五輪レベルの大会が開催できることを望んでいる。人気が高い欧州だけでなく、アジアでもボートを普及させようとしている」


2016年10月14日金曜日


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