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<熊本地震半年>孤立防ぎ 心のケアを

MMIX Labの現地メンバーらと打ち合わせする村上さん(右手前)=4月21日、熊本県八代市

 震度7を2回観測した熊本地震で負った傷は、半年たった今も癒えない。仙台市の芸術文化活動法人「MMIX Lab(ミミックス ラボ)」は東日本大震災で被災者支援に当たった経験を生かし、支援者が宿泊したり、物資を保管したりできる拠点を熊本県八代市に設けた。法人代表で、古里に足しげく通い活動を続ける同市出身の村上タカシ宮城教育大准教授に、震災被災地が熊本を支援する意義などを聞いた。(聞き手は報道部・中島剛)

◎現地で支援続ける宮城教育大准教授 村上タカシさんに聞く

<復興は二極化>
 −被災半年の現状は。
 「熊本市中心部はにぎわいが戻った。八代市中心部も落ち着いている。一方、地震で動いた日奈久(ひなぐ)、布田川(ふたがわ)両断層帯のエリア、益城(ましき)町や南阿蘇村、西原村は家が崩れたままの所が多い。がれき撤去も遅れている。日常が戻った地域と手つかずの地域に二極化している」
 「復旧工事の人手不足が深刻だ。ブルーシートが屋根を覆う家がものすごく多い。住宅再建は進んでいない。観光地は風評被害に苦しんでいる。例えば八代市の日奈久温泉。地震の被害は軽微だが、断層の名称が先行して危険と思われ、閑散としている」

 −現在も外部からの支援は必要か。
 「熊本県民の気質として『自分で何とかする。他人に弱みを見せない』という傾向が強い。ボランティアの受け入れを停止した自治体もあるが、本当は大変。現場レベルでは人が欲しいという話をよく聞く。被災の痛手は癒えていない」

<熊本産購入を>
 −どんな支援が求められているか。
 「仮設住宅の整備が本格化している。新たなコミュニティーをどうつくり、孤立を防ぐか。人らしく生活できるように住み心地をどう良くするか。震災体験で蓄積したノウハウを私たちは提供できる。とはいえ、東北から現地に行くのは難しい。熊本の産物を購入するのも大きな力になる」
 「高校まで八代で過ごしたが、地面が揺れた記憶がない。慣れない地震の恐怖で熊本の人たちが受けた心のダメージは大きい。特に高齢者や子どもへのケアが必要だと感じる」

 −震災被災地の東北と熊本の関わりについて。
 「災害時をどう生き抜くか、防災・減災をどう進めるか。体験者が最もよく分かっている。震災からの復旧、復興では熊本を含む全国、全世界の人にお世話になった。震災の教訓を他の地域や将来に伝えていくことは大切だと思う」
 「直下型の地震には津波と違う恐ろしさがある。地割れや陥没、山の崩壊。現場に立つと足がすくんだ。熊本地震から東北が学ぶ点も多いはずだ」

<10年は続ける>
 −今後の活動は。
 「専門を生かし、アートキャンプの開催などを通じて熊本の被災地が元気になり、人が集まるような仕掛けをしていく。福祉系、生活困窮者支援系の団体と連携し、東北と熊本をつなぐ役目も果たしたい。5年、10年と支援は続ける」

<村上タカシ(むらかみ・たかし)>美術家。東北大大学院博士課程前期修了。02年に宮教大助教授。専門はアートプロジェクト。主な企画に「IZUMIWAKUプロジェクト・学校美術館構想」(94年、東京都杉並区)や「仙台七夕・観光とアート展」(03年、仙台市)など。年齢は非公表。


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2016年10月14日金曜日


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