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<再起 東北と共に>住民の輪 仙台に学ぶ

仮設住宅団地で開くイベントについて話し合う吉村さん(左から2人目)たち。コミュニティーづくりに向け、試行錯誤を続ける=12日、熊本県益城町のテクノ仮設住宅団地

 震度7を2度観測し、甚大な被害をもたらした熊本地震の発生から14日で半年となった。被災者が暮らす仮設住宅団地では、東日本大震災を経験した東北の被災者や研究者らと連携し、再起を目指す動きがある。熊本県の復興に向け、手を携えながら前進する人たちの姿を追った。(東京支社・小沢邦嘉)

◎熊本地震半年(上)仮設住宅/共助 在り方を情報交換

<離れ離れに>
 熊本空港に近い益城町の工業団地に、平屋のプレハブ仮設住宅516戸が並ぶ「テクノ仮設住宅団地」がある。7月の完成後、町内各地で被災した約1300人が暮らす、熊本県内で最大の仮設団地だ。
 団地内の集会所で12日、住民が11月に自主開催する交流イベントについて語り合っていた。まとめ役を務めるまちづくり団体代表の吉村静代さん(66)は「入居者は互いに顔見知りが少なく、まだ自治会組織もない。まずはイベントを通じて住民同士のつながりを深めたい」と力を込めた。
 熊本地震で最も大きな被害が出た益城町では、住宅全体の半数を超える5000棟以上が全半壊した。町は16の仮設団地を整備したが、希望者が多い団地の入居は抽選となった。コミュニティーの維持が難しくなった地域も少なくない。
 自宅が全壊し、仮設入居を余儀なくされた吉村さんも、約7キロ離れたテクノ団地は「第3希望」。地震後4カ月間、避難所で共に生活した仲間のほぼ半数と離れて暮らすことになった。
 先行きがなかなか見えず、「大震災を経験した東北の人たちに、仮設での生活の話を聞きたい」との思いが募っていく。8月下旬、そんな吉村さんを仙台市の2人の男性が訪ねた。

<助言と報告>
 太白区のあすと長町仮設住宅の元自治会長飯塚正広さん(55)と、同仮設のコミュニティーづくりを支援してきた東北工大の新井信幸准教授(44)。報道を通じて吉村さんを知った2人は、自主的に熊本行きを決め、外部からの支援の受け入れ方や自治会運営の経験などを伝えた。
 「行政の支援には限界があり、それを補うのが住民同士の共助だった。生活再建に向け、仮設住宅でしっかりコミュニティーを築くことが大切」。現在は長町地区の災害公営住宅で自治管理組合長を務める飯塚さんが振り返る。
 定期的な情報交換に向け、今月7日には東北工大とテクノ仮設の集会所をインターネットのテレビ電話でつなぐ試みも始まった。
 「高齢者の孤立の問題は大丈夫ですか?」「花壇づくりも交流のきっかけになりますよ」。飯塚さんと新井准教授は研究室から再びさまざまな助言を送り、テクノ仮設の住民は現況を報告した。新井准教授は住民同士の交流イベントが11月にあることを知り「私もその日に熊本に行きます」と継続支援を約束した。
 「仮設住宅の住民がばらばらでは行政にも声が届かない。町の復興を早めるためにも、みんなで一緒に動きたい」と吉村さん。さまざまな声に耳を傾けながら先を見据える。

[メモ]熊本地震の被災者向け仮設住宅は、熊本県内16市町村で110団地、4303戸が建設される予定。6日時点で計画の9割以上に当たる98団地、4052戸が完成した。民間賃貸住宅などを借り上げるみなし仮設住宅は県内に1万4600戸確保する見込み。県は9月に公表した復旧・復興プランで、おおむね4年後までに災害公営住宅を整備するなどして仮設住宅を解消する方針を示した。


2016年10月15日土曜日


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