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<台風10号>被害甚大・安家川 清流復活願う

泥だらけになった安家川各地の写真のネガフィルムを手に取る玉沢さん=岩手県岩泉町安家地区
安家川のカワシンジュガイの群生(岩泉町提供)

 台風10号の豪雨で甚大な被害が出た岩手県岩泉町の安家(あっか)川流域で、地域おこし団体を通じて川に親しむ活動をしてきた農業玉沢英己さん(75)が清流の復活を願っている。川は町天然記念物で希少な淡水産貝類カワシンジュガイが生息する貴重な自然だった。被災から40日以上たっても被害の実態は分かっていない。

 安家日陰地区に住む玉沢さんは、自宅の被災は免れたものの、数年前まで営んでいた製材所の木材倉庫や貸家など川沿いの所有建物が被害に遭った。
 収入源だった在庫の木材も流され、「まさか川がこれほど猛威を振るうとは」と肩を落とす。
 玉沢さんは1992年、「木古里倶楽部(もっこりくらぶ)」を設立し事務局を務めた。川に入りカワシンジュガイを観察する「川の日」行事や盆踊りの開催、遊歩道整備などに動き、安家川の自然を町内外にアピールしてきた。
 一大事業は、数年がかりで実施した川の詳細調査。西の源流付近から太平洋の河口部まで約50キロに及ぶ流域を歩いて写真に収め、古老の話も参考に滝や淵の名前を調べた。A4判で数十ページに及ぶ地図にまとめた。
 高齢化が進んだ会は数年前に解散。玉沢さんは地図のコピーや各地点の写真、ネガフィルムなどの膨大な活動記録を木材倉庫の金庫で保管してきた。
 今回の豪雨で資料は原形をとどめたが、泥水にまみれ激しく傷んだ。玉沢さんは「ここに大勢の人が集まった時代の記録が水浸しになり、残念だ」と話す。
 2006年10月の大雨では、大量のカワシンジュガイが陸に打ち上げられたという。「絶滅を心配したが3年ぐらいで再び増えた。今回ばかりは時間がかかると思う。自然の力を信じたい」と川の再生を祈る。

[カワシンジュガイ]低水温の水質がきれいな川で、砂れきなどの河床に直立した状態で生息する二枚貝。環境省版レッドリストで絶滅の危機が増大している絶滅危惧U類に分類される。岩手県北部は本州で最も分布が濃密な地域。


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2016年10月15日土曜日


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