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<手腕点検>民間感覚生かし独自色

町議会9月定例会で一般質問に答える斎藤町長=9月7日、亘理町役場

◎2016宮城の市町村長(14)亘理町 斎藤貞町長 町中心部将来像見えず

 手堅く無難だが、独自性に欠ける−。こんな評価が定着しつつあった亘理町の斎藤貞町長(74)が、トップセールスで目に見える成果を上げた。
 町は8月、東日本大震災で経営環境が悪化した町営宿泊施設「わたり温泉鳥の海」の経営を老舗温泉ホテルの佐勘(仙台市)に委託すると発表した。斎藤町長は独自の人脈をたどり、複数社と接触。その一つが佐勘だった。
 昨年12月末、職員を伴わずに佐勘を訪問した。佐藤勘三郎社長に約束は取り付けていたが、用件は伝えていなかったという。「まずは施設を見てほしい」と要望すると、佐藤社長が自ら視察に訪れた。
 立地や眺望が佐勘側に高く評価され、とんとん拍子に話が進んだ。2008年の開業から赤字体質だった鉄筋5階の施設の公設民営化に道筋を付け、佐藤実町議会議長(73)は「民間出身の感覚が生きた」と評価する。

<交流人口拡大へ>
 仙台中央青果卸売常務を経て02年に役場入り。「民間の発想を役場に」との斎藤邦男前町長の意向から助役と副町長を務めた。震災の混乱が残る14年の町長選で、高齢などを理由に引退した邦男前町長の事実上の後継として立候補し、初当選した。
 「手堅すぎる面もあると思っていたが、1次だけでなく観光を基幹産業に位置付け、努力している点を評価したい」。県漁協亘理支所の菊地伸悦運営委員長(71)は行動力を認める。
 今春策定した第5次町総合発展計画では、基本戦略のトップに交流人口拡大を掲げた。15年国勢調査の町人口は3万3598で、5年前の前回に比べ3.6%減った。人口減少に歯止めをかけるためにも、裾野の広い観光産業の振興を目指す。
 ただ、観光振興は緒に就いたばかり。町中心部周辺には亘理伊達家関連の史跡が豊富にあるが、周遊ルート整備などは形になっていない。亘理山元商工会の丸谷由郎会長(73)は「頑張ってはいるが、町中心部の将来像が見えてこない」と指摘する。

<財政に不安要素>
 復興事業は3月末時点で着手率が96%に達し、70%が完了。プレハブ仮設住宅は本年度中に全て解消される見通しだが、多くの町議が今後の不安要素として財政を挙げる。
 JR常磐線亘理駅西側の役場庁舎を19年度、東側の公共ゾーンに移す計画が進む。公共ゾーンには保健福祉センターも建設。国の補助金や基金の取り崩しを充ててもなお、庁舎とセンターだけで14億円超の一般財源が必要となる見込みだ。
 1期目の任期は残り1年半余となった。74歳と5カ月は、県内の首長で最高齢。
 斎藤町長は「2期目を考える余裕などない。1日1日、目の前の仕事に取り組むだけ」と慎重に話す一方で、「若い人が手を挙げてくれればいい」と微妙な言い回しもしている。(亘理支局・安達孝太郎)


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2016年10月16日日曜日


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