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<仙台いやすこ歩き>(44)ソーセージ/歯応え十分広がる肉汁

 記念日の話をしていたら、そこはいやすこ、食べ物の記念日に話は飛んだ。11月1日には、昨年から「ソーセージの日」が加わったという。
 「仙台には、漫画『美味しんぼ』にも取り上げられたソーセージがあるよねえ〜」とうっとり顏の画伯。聞くだけで垂ぜん状態の私、みい。となっては、じっとしていられない。ちょっと遠出して泉ケ岳の麓、泉区福岡に向かうことにした。
 小雨そぼ降る中、緑の木立の向こうに現れた勝山酒造のたたずまいは、まさに醸造所らしい。ここには酒造りのほかに、ソーセージを作る工場もあるのだ。迎えてくれたのは勝山酒造株式会社の丹野哲仁工場長(40)。早速、工場内を案内してくれた。
 衛生上大切なエアシャワーなどを経て作業場へ。まず最初の工程が精肉カットだ。そこから筋を取り、ミンチャーにかけ、スパイスや塩と混ぜて調味し、羊腸に詰める。工程の説明とともに、丹野さんはなぜ勝山酒造がソーセージを作り始めたのかを話してくれた。
 「社長がドイツに旅行したとき、本場のソーセージのおいしさに強く引かれたのがきっかけでした。仙台の地でもそんなソーセージを作りたいと試行錯誤し、1982年に本格的な製造をスタートさせたんです」
 おいしさの追及は素材、技、品質管理の全てに及んだ。豚肉は宮城県北部、岩手県南部で肥育された地養豚、塩はドイツのクリスタル塩。そして、腸はオセアニア産の羊腸。「うちは羊腸しか使っていません」
 腸詰めされた段階で隣のスモークハウスへ。ここでスモークされてソーセージが出来上がり、食べられる状態となる。その後は冷却、パック詰め、熱殺菌を経て、流通・発送まで冷蔵庫で保管される。
 作りたてのおいしさを届けたいと、大量在庫はしない、冷凍での流通もしないと徹底している。「しない」ことの最たるものが、結着剤などのつなぎ、化学調味料、発色剤、保存料などを一切使用しないことだ。
 ごまかしのない作り方は頑固で丁寧で、そして、そこには無駄のない美しさがある。320年以上受け継ぐ伊達家御用蔵の魂ではないだろうかと、感動しきり。天然素材の手作り食品なのだと改めて知らされる。
 一巡したところで、漂ってくる香り。スモークされたソーセージはいい色合いで、その色合いと香りにうっとりの2人。以前は桜のチップも使ったそうだが、素材を厳選しているのでシンプルな香りのブナチップに落ち着いたという。
 この部署を担当して10年になるという丹野さん。「販売会などに赴き、お客さまから直接『おいしいですね』という声を聞くと、作っていてよかったと思います。娘はうちのソーセージしか食べないんですよ」と相好を崩す。
 その日の夜、丹野さん直伝の方法でソーセージをボイルした。プリッという弾力のある歯応えの後に、お肉を食べている実感が来て、かみ口からは肉汁がじわーっ。黒コショウの香ばしさも程よく、ビールとソーセージで気分は上々!

◎紀元前兵士の携帯食品に

 ソーセージは豚、牛、鶏などのひき肉を塩や香辛料で調味して、ケーシング(豚、牛、羊などの腸、あるいは人工のもの)に充填(じゅうてん)し、薫煙やボイル工程を経た保存食。
 その歴史は古く、紀元前800年ごろの古代ギリシャ詩人ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」には、兵士の携帯食として登場している。現在は世界中に広がり、さまざまなソーセージがある。特にドイツ圏が有名で、ドイツ・フランクフルト由来のフランクフルトやオーストリア・ウィーン由来のウインナーは日本でもおなじみだ。
 日本での歴史は明確ではないが、明治時代末から大正時代に、本格的製法が全国に伝わったとされる。日本でソーセージの普及に貢献したのは、第1次世界大戦で捕虜となったドイツ兵のソーセージ職人だったという。
 勝山酒造のソーセージが買える店は全国にある。仙台市内では仙台勝山館本店と仙台勝山館三越店、藤崎本店、さくら野百貨店仙台店、青葉城本丸会館など。

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2016年10月17日月曜日


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