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<アウガ公共化>破綻、再生…市に説明責任

 青森市中心市街地の複合商業施設「アウガ」が市政混乱の元凶となっている。運営する第三セクター「青森駅前再開発ビル」は債務超過に陥り、鹿内博市長が経営不振の責任を取って31日付での辞職を表明。2人の副市長も辞職する異例の事態が続いた。土地と建物を市が買い取る公共化の方針が決まったが、特別清算に向けた対応は弁護士に任せきり。市や三セクは「テナントを必死で守る」と言ってきたが、当事者意識を欠いた態度に大きな疑問が残る。
 「店はどうなるの、と客に尋ねられても答えられない」。アウガのテナント関係者が嘆く。「いつも報道が先で自分たちには何も知らされず、混乱している。三セク幹部の姿を館内でほとんど見たことがない」と不満を漏らす。
 2001年のオープン当初、中心市街地ににぎわいを創出したかに見えたアウガは08年に突如、破綻寸前であることが明らかになる。スタート時に抱えた30億円超の長期借入金が経営を圧迫。年間売上高はピークの28億5300万円から13年以降は14億〜16億円と下がり、目標に遠く及ばなかった。
 債務超過を避けるため、市は債権の買い取りや融資、床の一部購入などで三セクを支援。2度の再生計画を立てたが、見通しの甘さから共に達成できず、赤字体質は改善されなかった。市議会でも度々問題が取り上げられたが、根本的な解決策は見いだせないまま。最近は鹿内市長の責任追及に終始し、十分な議論がされてきたとは言い難い。
 アウガ問題の解決を難しくした背景には、建設時から続く複雑な権利関係がある。再開発ビルとして地権者だけでも19者が存在。債権と床は市や金融機関も保有する。商業スペースはテナント店と地権者の店が混在する。
 「利害関係者が多く、当初から全員に等しく情報が公開されなかった」。関係者はそう打ち明ける。市や三セクは同社の実態や方針に関わる重要な情報を特定の関係者にだけ提供していたという。
 市や三セク、地権者、テナント同士の信頼関係は崩れており、会社清算という難題に直面しているのに協力は見通せない。17年2月末に商業スペースを閉鎖するとの計画に、地権者の一人は「営業を続けたい人、権利を手放したくない人もいる。予定通りにいくだろうか」と案じる。今後も難航は必至だ。
 テナントや地権者にとっては、仕事や賃料収入が無くなるかもしれない死活問題。市や三セクは難局を迎えた今こそ、細やかな対応を忘れてはならない。
 市には2億円の融資を含む約24億円の債権があり、特別清算となれば一定額を放棄せざるを得ない。市の支出分は言うまでもなく市民の税金だ。その自覚と認識が足りないのか、三セクの経営状態や今後のアウガの在り方について市民への説明は不十分だ。
 トップの辞職で済む話ではない。これまでの協議の経過や市長交代に伴う影響はもちろん、公共化によって市民にどんなメリットや負担が生じるのか。鹿内市長や三セクは説明責任を尽くさなければならない。(青森総局・横川琴実)

[アウガ]青森市のJR青森駅前再開発計画に基づき総事業費約185億円をかけて建設、2001年1月にオープンした。計画当初は西武百貨店を核テナントに想定していた。店舗面積は約1万5900平方メートル。地下1階はかつての市場で営業していた商店など70店が入る「新鮮市場」で、地上1〜4階は商業フロア、5〜9階は市民図書館などの公共フロア。「アウガ」の名称は津軽弁の「会おうよ」から。


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2016年10月17日月曜日


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