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福祉理容 爽やか笑顔

利用者と和やかに話しながら手を動かす村田さん(右)

 高齢者や知的障害者といった特別な配慮が必要な人を受け入れる理容店が、秋田市将軍野にある。今年1月に開店した「福祉理容店 幸のとり」だ。1人で接客する店長の村田薫さん(47)は「言葉が通じない利用者でも、カットや顔そりをしてきれいになると、笑顔になる。その瞬間が私にとって幸せ」と話す。
 閑静な住宅街に立つ理容店に、理髪用の椅子は1台のみ。木目調の壁に小鳥をモチーフにした雑貨を飾り、居心地の良さを演出した。店名は鳥好きだったことに加え、「店にいる少しの間も幸せな時間にしたい」(村田さん)との願いを込めて付けた。
 村田さんが福祉理容に興味を持ったのは、歯科衛生士として市内の歯科医院で働いていた1993年ごろ。往診先の介護施設で、理容師が利用者の顔そりをしている風景が目に留まった。「これができれば、家族の老後も自分で世話ができる」と、96年に理容師の免許を取得。市内の病院にある理容室で約10年経験を積んだ。
 独立を決めたのは、病院で働く中で「もっと利用者のニーズに応えたい」と思ったからだ。車椅子のまま洗髪できるように椅子のないシャンプー台を設けたほか、介助者に休んでもらえるスペースを用意するなど、病院で得たアイデアを生かした。福祉理容を専門に掲げる店は全国的にも珍しいという。店は口コミで人気を集め、月に20件ほどの予約が入る。
 毎月1回訪れる同市の無職長谷川次郎さん(89)は足腰が悪いため、村田さんの送迎を利用して来店する。「以前はタクシーで一般の理容室に行っていたが、料金が高くて困っていた。ここは送迎してもらえるので気兼ねなく利用できるし、村田さんとの会話も楽しみ」と笑う。
 利用者は、認知症で十分なコミュニケーションが取れない高齢者や寝たきりの患者らさまざまだ。村田さんは「利用者一人一人と丁寧に向き合っていきたい」と話す。
 午前9時〜午後6時。不定休で完全予約制。自宅や病院に出向く訪問理容も行っている。カット3000円など。連絡先は同店018(807)0184。


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2016年10月17日月曜日


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