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<SBS問題>政府試算への信頼揺らぐ

 今臨時国会では二つの条約が審議されている。地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」と、環太平洋連携協定(TPP)の承認案だ。後者を巡っては、輸入米売買入札での「調整金」が火種として浮上。安倍晋三首相は承認に向けて前のめりだが、通常国会に続き紛糾の兆しが出てきた。

◎東京検分録

 「他国に先駆け、日本の国会で承認し、早期発効に弾みをつける。自由貿易の下で経済発展を遂げたわが国の使命だ」
 首相がTPP関係閣僚会議で意気込みを示した7日、農水省は、国が商社から輸入米を買い入れ、事実上の関税に当たる売買差益を上乗せして卸売業者に売り渡す「売買同時入札(SBS)」に関する実態調査結果を公表した。商社が民間事業者に支払う調整金の存在を認めたが、国産米の需給や価格には影響を与えていないと結論付けた。
 調査結果には疑問を感じるが、輪をかけて残念なのはTPPの影響試算をやり直さないことだ。TPPではSBS枠を新たに約8万トン設定する。国産米への影響について、政府は従来通り「なし」としている。
 国産米への影響は、調整金の存在が明らかになる前も青森、岩手、山形各県などから疑問の声が出ていた。調整金によってさらにその信頼性は揺らいだ。山本有二農相は11日の記者会見で「調査をした結果、生産者の不安になるような根拠となるものはなかった」と強弁、幕引きに懸命だ。
 もう一つの条約、パリ協定は採択から1年足らずでのスピード発効が目前。だが、日本は来月7日からの締約国会議に正式参加するのは困難な見通し。政府は批准案を慌ただしく今国会へ提出したが、ルール作りの主導権は握れないとの見方が強い。世界に先駆けてTPP承認を最優先する審議日程が影響しているとしたら、何とも皮肉な話だ。(東京支社・小木曽崇)
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2016年10月16日日曜日


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