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<防災マリーナ>係留船陸揚げ式に異論噴出

盛り土されている市立病院跡地周辺が防災マリーナの整備予定地。協議会での議論の行方が注目される

 宮城県石巻市が旧北上川河口に整備する船舶保管施設「防災マリーナ」を巡り、官民の協議会で計画の再考を求める声が上がっている。市は、河川管理者の許可を得ずに河口に係留する船の受け入れ先に充てる考えで、施設を利用する船は全てクレーンで陸に揚げて保管する将来像を描く。ただし有料施設で今より使い勝手が悪くなると予想され、関係者は「これでは係留船はなくならない」と指摘する。
 異論が出たのは3日に市役所であった旧北上川水面利用者協議会。国や県、市、地域の代表者ら16人が出席し、事務局の担当者が船主への啓発などソフト面の話を進めようとしたが、出席者から防災マリーナについて不満が噴出した。
 一般社団法人日本マリン事業協会東北支部(仙台市青葉区)の皆上昌弘事務局長は利用が進まない事態を懸念し「既存の施設で使える場所がないのか検討してほしい」と要望。石巻市の水産加工会社「木の屋石巻水産」の木村隆之副社長は「無用の長物にならないか心配だ」と訴えた。
 防災マリーナは、係留船が市街地に流出した東日本大震災の教訓を踏まえ、堤防の陸側に船を収容する計画。船をクレーンで陸に揚げて台車で堤防ゲートを通過して保管場所に運ぶ。協議会では「クレーンのオペレーターが必要で時間もかかる。見た目も陸置きばかりでマリーナと言えるのか」という意見も出た。
 座長を務める石巻専修大経営学部の李東勲准教授は防災マリーナに特化した分科会の設置を提案。しかし国や県の担当者が「次回議論してから検討してはどうか」と発言し、判断を持ち越した。
 協議会は2012年4月に発足。13年8月まで5回の会合を重ね、防災マリーナの整備地を選定した。6回目は約1年7カ月後の昨年3月に行われ、原則として陸揚げ式にする計画が初めて示された。
 市はその後、基本設計の一部を終えて詳細な実施設計に着手。今回の開催まで再び約1年7カ月の時間を要したが、完成イメージも提示されず、陸揚げ式に異論があるまま計画が進んでいることなどにメンバーの不満がくすぶっていた。
 市河川港湾室の間山隆之室長は「できるだけ早く次回の会合を開き、防災マリーナの進捗(しんちょく)を報告する。協議会で出た意見についても、反映できる内容は整備計画に生かしたい」と話す。

[防災マリーナ]保管場所がない長期係留船舶の受け皿として石巻市南浜町に整備予定。2019年4月の運用開始を目指す。プレジャーボートなど100隻以上を収容し、一時的な係留場所として浮桟橋を配置する計画。長期係留船舶は09年度が438隻、震災後の11年度に47隻まで減ったが、昨年度は74隻に増えている。


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2016年10月18日火曜日


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