宮城のニュース

<瀬戸際の城下町>宮城県南一丸 点から線へ

キツネとの触れ合いを楽しむ外国人観光客。広域連携で呼び込める余地は大きい=宮城蔵王キツネ村

◎白石市長選10月23日投開票(下)観光連携

 東北新幹線の白石蔵王駅から車で約20分。蔵王山麓の宮城蔵王キツネ村(宮城県白石市)は、週末を中心に若者や外国人でにぎわう。
 キタキツネやギンギツネなど6種約250匹を飼育し、野生ではあり得ない「抱っこ体験」が最大の魅力だ。「村長」の佐藤文子さん(70)は「キツネと身近に触れ合えるのは、世界でもここだけ」と自負する。
 3年ほど前、インターネットの投稿動画がきっかけで人気に火が付いた。2015年の来園者は、市の観光客入り込み数の1割を超える約10万人。うち約1万人が外国人という。

<交通の便に難>
 訪日外国人旅行者(インバウンド)に対応するため、沿道や施設内の看板に英語の表記を追加。無線LANサービス「WiFi(ワイファイ)」も整備したが、問題は交通アクセスだ。
 公共交通は市民バスが週2回、各1往復だけ。タクシーは駅から片道4000円ほどかかる。市は「市民バスはあくまで市民の生活の足」として、今のところ増便の予定はない。
 市中心部に白石城がそびえ、道中には鎌先温泉や弥治郎こけし村がある。キツネ村から北に約10キロ足を延ばせば宮城県蔵王町の遠刈田温泉で、蔵王エコーラインの入り口だ。
 観光客にとって、都道府県や市町村の境界は関係ない。佐藤さんは「観光地が点で終わるのはもったいない。市役所は発想を転換し、民間の知恵を生かしてほしい」と注文する。
 県南4市9町でインバウンドの誘客を目指す宮城県丸森町の株式会社「侍」社長の太見洋介さん(39)は「県南は観光の潜在能力があるが、ピン(単独)では勝てない。連携の核は白石」と指摘する。「インバウンドの活動は日本人の観光需要も喚起する。若者の流出や空き家の増加など、まちづくりの課題を解決する手段にもなり得る」と力説する。

<ブームに鈍感>
 戦国武将真田信繁(幸村)の生涯を描くNHK大河ドラマ「真田丸」。幸村の娘で白石城主・片倉小十郎重長の後妻となった阿梅(おうめ)、仙台藩士となって現在の蔵王町に領地を得たと伝わる息子の大八も登場し、物語は佳境に入った。
 放送決定の発表は2年半前の14年5月。両市町は実現を求める署名活動にも協力したが、イベントなどでの提携は従来の域を出ない。幸村ゆかりの由利本荘市を含めた3市町共同でホームページを立ち上げたのは今春で、更新もほとんどない。ある観光関係者は「せっかくの大チャンスを貪欲に拾う意欲がなく、ブームに乗り遅れた」と市役所の腰の重さを悔やむ。
 「城や侍といった歴史的な観光資源はやはり白石」と話すのは、9月に4選を果たした村上英人蔵王町長。「わが町には豊かな自然と温泉、丸森には阿武隈川の舟下り、岩沼には竹駒神社がある。4市9町が一丸となり、インバウンド対策に取り組みたい」と新市長に秋波を送る。


関連ページ: 宮城 政治・行政

2016年10月20日木曜日


先頭に戻る