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<全町避難>富岡の歴史 大学生ら守る

資料を撮影する福島大の学生(福島県富岡町提供)

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県富岡町と福島大は22日から、町内の地域資料に関する企画展を、福島市の大学図書館で開催する。原発事故後に民家から救い出した手紙や日記などを並べ、連携して進める保全活動について報告。文化や先人の思いを守って伝える必要性を発信する。
 両者は昨年8月、連携協定を締結。町の専門チームが民家で古文書などを保全し、学生が資料の目録作成や写真撮影など整理作業を担ってきた。今回は約1万2000点のうち、文書や手紙など25点を展示する。
 展示資料の一つ「富岡羽二重株式会社」の帳簿類は、地域の軽工業発展の様子を伝える。このほか、中国に出征した夫からの軍事郵便からは、家族への愛情やさみしさが読み取れる。埋もれていた地域の営みに触れ、作業する学生たちは涙したという。
 原発事故による避難が長期化していることで、習俗など地域性の喪失が危ぶまれる。家屋の解体で民家に残る資料も失われる恐れが高まっている。
 同町の歴史・文化等保存プロジェクトチームの門馬健学芸員は「富岡らしさを後世に継承することこそ、未曽有の複合災害を心の面で乗り越えるために必要だ」と話し、福島大の継続的な協力に感謝する。
 「ふくしま歴史資料保存ネットワーク」代表も務める阿部浩一福島大教授は「原発事故で地域性を保持するのが難しい中、この取り組みは大学と自治体による新たな挑戦だ。活動を双葉郡全体に広げていかなければならない」と強調する。
 企画展は30日まで。22日は学生や町民が参加するシンポジウムもある。


2016年10月20日木曜日


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