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<SBS問題>国会論戦振り返り論点整理

 環太平洋連携協定(TPP)を巡る国会論戦で、輸入米の売買同時入札(SBS)の「調整金」が議論の一大テーマとなっている。政府は国産米への影響はないとする調査結果を示して幕引きに懸命だが、野党は調査の結果や手法に疑問を呈し、攻勢を強める。東北選出議員らが臨時国会で交わした議論を振り返り、論点を整理する。

◎国産米への影響/価格低下 懸念の声

 無所属の舟山康江参院議員(山形選挙区)は5日の参院予算委員会で「極めて安いコメが入ってきたら、国産米価格に大きく影響する」と懸念を示した。山本有二農相は、SBS米の流通量が最大10万トンで国産米の市場規模800万トンに比べて小さいことに触れ「しっぽが胴体を振り回すことはない」と否定した。
 自民党の葉梨康弘衆院議員(茨城3区)は4日の衆院予算委で、国産米価格が高いほどSBS米の輸入量が多く、国産米が安いほど輸入量が少ない近年の傾向を指摘。「SBS米があることで国産米価格が下がることにはならない」と農水省の説明に賛意を示した。

◎調査方法/少ない事例 疑問も

 山本農相や自民党の考え方に、民進党の村岡敏英衆院議員(比例東北)は疑問を呈する。12日の衆院予算委で「SBS米は業務用。競合する国産米には影響が出ている。ブランド米も含むコメ全体と比較し、値段が変わっていないとする調査は不十分」と強調した。
 民進党の福島伸享衆院議員(比例北関東)は17日の衆院TPP特別委員会で、調整金が存在した取引で売買されたSBS米が、最終的に実需者にいくらで売り渡されたかが判明した事例が2例しかないにもかかわらず、政府が「国産米に影響なし」と結論付けたことを問題視した。山本農相は「SBS米の契約当事者は(輸入業者と卸売業者、国の)3者。卸売業者より先の実需者は、行政が把握する範囲外」とかわした。

◎情報公開姿勢/メモ非公開の方針

 民進党は農水省に対し、職員が企業からヒアリングを行った際に記したメモの公開を要求している。山本農相は「調査は任意で行った。メモは企業が好意で説明してくれたことを記載しており、企業情報が満載」などと説明し、非公開の方針だ。
 同党の緒方林太郎衆院議員(比例九州)は12日の衆院予算委で、通常国会でTPP交渉経過を記した文書が表題以外黒塗りで開示されたのを引き合いに「交渉経過の時に出てきた『のり弁』以下の対応だ」と批判を強める。

[メモ]政府は世界貿易機関(WTO)協定に基づく77万トンのコメのミニマムアクセス(最低輸入量)のうち最大10万トンを売買同時入札(SBS)枠に設定している。SBSは輸入業者と卸売業者がペアで入札に参加。国は商社から輸入米を買い入れ、事実上の関税に当たる売買差益を上乗せし卸売業者に売り渡す。国内の稲作農家を守るため、価格を国産米と同水準に調節するのが狙い。
 農水省が7日公表した調査では、5年内にSBSで落札実績のある卸売・輸入業者139社の4割超となる61社が、主に輸入業者から卸売業者に支払われる調整金について「過去や現在にあった」と答えた。「調整金をプールした上で経費に活用」との回答が多く、同省は調整金が輸入米安売りにつながっていないと解釈し「国産米の需給や価格に影響を与えていることを示す事実は確認できない」と結論付けた。


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2016年10月20日木曜日


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