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<文化審答申>重文指定 東北3件

小岩井農場で現在も使われている本部事務所
佐藤家住宅の外観。覆屋の中に主屋・文庫蔵がある(秋田県教委提供)
旧松浦家住宅の外観。内部にぜいたくな造りの座敷蔵がある(秋田県教委提供)

 文化審議会は21日、浄土宗大本山・知恩寺(京都市)の御影堂など9件65棟の建造物を重要文化財に指定するよう松野博一文部科学相に答申した。近く答申通り告示され、建造物の重要文化財は2465件(うち国宝223件)になる。
 知恩寺は浄土宗の開祖法然によって創始され、江戸時代の寛文年間(1661〜72年)初期に左京区の現在地に移された。多数のお堂や門の配置が近世浄土宗寺院の特徴をよく示している。
 東北関係では、洋式農場の先駆けとなった小岩井農場施設本部事務所など21棟(岩手県雫石町)、佐藤家住宅主屋など2棟(横手市)、旧松浦家住宅主屋など3棟(同)を重要文化財に新指定するよう答申した。
 このほか重要伝統的建造物群保存地区として、歴史的景観が残る戸隠神社(長野市)の門前町と、カツオ漁で栄えた徳島県牟岐町の漁村集落を選定することも答申した。

◎近代農場の発展伝える/小岩井農場施設(岩手県雫石町)

 小岩井農場は1891年に洋式の大規模農場経営を目指して開設された。建物群は農場の基幹施設で、育牛部門を置く上丸、飼料を生産する耕耘(こううん)部門がある中丸、総務部門の下丸の3地区にある。全て良好な状態で保存され、本部事務所などは今も使用されている。
 1934年建設の第1号牛舎は、首かせを使って乳牛を管理する当時の最新技術を導入。国内現存で最古とみられる第1号サイロ(07年)、家畜飼料用の穀物類乾燥庫となった木造の4階建て倉庫(16年)など日本の近代農場の発展過程を知ることができる。

◎伝統的建築様式を今に/佐藤家住宅主屋・文庫蔵(横手市増田町)

 横手市増田伝統的建造物群保存地区にある佐藤家住宅の主屋は、明治時代初期に建てられた店舗兼住宅。建築当時は荒物商として使われ、現在はカメラ店になっている。
 主屋は平屋一部2階で、幅約8.7メートル、長さ約20メートルの土蔵造りの建物内部に店舗と居間があるのが特徴だ。サヤと呼ばれる覆屋(おおいや)で主屋と文庫蔵を覆う構造になっている。明治中期には覆屋の正面に装飾を施す改修をした。
 主屋と文庫蔵は、増田地域の伝統的な住宅形式を伝えているところが評価された。

◎高度な左官技術を駆使/旧松浦家住宅主屋・座敷蔵・米蔵(横手市増田町)

 旧松浦家住宅は増田地域で水力発電事業を手掛けた明治・大正時代の実業家松浦千代松が建てた。建築年は主屋が1889年、米蔵が翌90年、座敷蔵が1903年。主屋と座敷蔵は覆屋(おおいや)で覆われている。
 建物は市増田伝統的建造物群保存地区内にあり、最大の特徴は高度な左官技術を駆使した座敷蔵。一部の部屋は床板と柱、はりが漆塗りで、当時商業で繁栄した地域の財力を感じさせるぜいたくな造りになっている。主屋と座敷蔵、米蔵が全て残っているのは同保存地区で唯一の存在で、歴史的価値が評価された。

◎文化審議会の答申内容

【重要文化財の新指定】小岩井農場施設本部事務所など21棟(岩手県雫石町)▽佐藤家住宅主屋など2棟(横手市)▽旧松浦家住宅主屋など3棟(横手市)▽旧大和田銀行本店本館(福井県敦賀市)▽旧西園寺家興津別邸主屋など3棟(愛知県犬山市)▽知恩寺御影堂など9棟(京都市)▽旧奈良監獄中央看守所および事務所など19棟(奈良市)▽闘鶏神社本殿など6棟(和歌山県田辺市)▽大宜味村役場旧庁舎(沖縄県大宜味村)
【重要文化財の追加指定】那須疏水旧取水施設東隧道、西隧道(栃木県那須塩原市)
【重要伝統的建造物群保存地区の新選定】長野市戸隠地区(長野市)▽牟岐町出羽島地区(徳島県牟岐町)


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2016年10月22日土曜日


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