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<TPP>東北の農業関係者 政府に不信増大

 今国会の焦点となっている環太平洋連携協定(TPP)の論戦を東北の農業関係者が注視している。輸入米を巡る売買同時入札(SBS)方式の「調整金」問題が浮上し、議論は混迷。「国産米の価格への影響はない」との主張を繰り返す政府の説明不足は否めず、農業関係者は不安と不信を高めている。

 農水省が「調整金」の存在を認めた調査結果について、岩手県農協中央会の畠山房郎常務理事は「表向きと内向きで価格が異なる取引が成り立っていることに疑念を感じる。他にも不透明な取引があるのではないかと考えてしまう」と不信感をあらわにした。
 福島県は11日、SBS方式の厳格な運用を国に要望した。天野亘農林企画課長は「想定していなかった調整金の存在が明らかになり、農家に不安を与えた」と厳しく指摘した。
 TPPが発効すれば、米国とオーストラリアからSBS方式で約7万8000トンが輸入される。政府は国産米への影響はないとするが、明確な根拠は示されていない。
 全農山形県本部の成田尚米穀集荷販売課長は「SBS米のウエートはそれなりに増加してくる。少なくとも外食産業を中心に流通する低価格米には影響が出てくるのではないか」と米価への影響を懸念する。
 コメへの影響額をゼロとした政府のTPP影響試算への信頼性も揺らぐ。政府は輸入米は国産米の価格とほぼ同等で、国産米より大幅に安く流通していることはないと説明してきた。
 宮城県農協中央会は今月5日、地元選出の国会議員らに対し、SBS米の実態解明などを要請した。石川寿一会長は「政府試算の前提は崩れている。ほとんどがブラックボックスで、生産者の不安や不信感は高まっている」と批判した。
 農林水産品への影響額を約58億円とする試算を公表した青森県の小野正人農林水産政策課長は「再試算をやりたい思いはあるが、国のデータが変わらなければ、前回と同じ結果になるだけだ。もう少し長期時系列のデータを出してほしい」と求めている。
 政府は今国会でのTPP承認案、関連法案の成立をもくろむ。秋田県農協中央会の木村一男会長は「中身が分からないのに、法案が一括審議され、全て通過することが一番困る。再交渉に応じないとしているが、それができるのかそもそも疑問だ」と語気を強める。

[輸入米のSBS方式]外国産米の輸入価格を決める入札の仕組み。輸入米を国に売る商社と、国から買う卸売業者がペアを組んで参加する。国内の稲作農家を守るため、卸売業者の購入価格が国産米と同水準になるよう、国は売買差益を上乗せして調節する。


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2016年10月23日日曜日


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