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<縄文遺跡群>世界遺産へ険しい道のり

青森市の三内丸山遺跡。縄文文化に触れてもらおうと、「縄文大祭典」などのイベントが毎年開催されている

 北海道、青森、秋田、岩手の4道県で世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、7月に開かれた文化審議会で国内候補の推薦を4年連続で見送られた。前回の結果を踏まえ改善して臨んだものの、実らなかった。当初掲げた目標の2015年登録から大幅にずれ込む険しい道のり。登録実現に向けて課題を探る動きは続く。

<分かりやすく> 
 関係18自治体で組織する縄文遺跡群世界遺産登録推進本部(事務局・青森県)は今回、保存状態に課題のある鷲ノ木遺跡(北海道森町)と長七谷地貝塚(八戸市)を構成資産から外して17遺跡に変更。図表やコラムを付け、分かりやすさを追求した推薦書を提出していた。いずれも文化審議会から前回受けた「保全と管理計画の策定」「普遍的価値の分かりやすさ」といった指摘への対応だ。
 しかし、またも推薦はかなわなかった。秋田市で今年9月に開かれた関係自治体による登録推進会議の席上、文化審議会から今回示された課題について事務局が説明。「普遍的価値の説明」「各構成資産の選択の検討」などに改善が必要との認識を共有した。
 座長の岡田康博・青森県世界文化遺産登録推進室長は「構成資産数は変えない」方針で、「17遺産それぞれが何を表しているのか価値を説明すること」が最重要と受け止める。

<見直しを指摘>
 推薦書作成のアドバイスを行う専門家委員会メンバーの岡村道雄・奥松島縄文村歴史資料館(東松島市)名誉館長は、来年度に向け「縄文文化の価値の説明を見直す必要がある」と指摘する。
 縄文人は発達した精神文化を持ち、ヒエやアワを栽培しながらも、狩猟・採集の生活をメインにしていたとされる。岡村氏は「多様な自然を管理し、安定した長期定住を達成したことは世界的にも珍しく、強調していくべきだ」と話す。

<「なぜ4道県」>
 文化審議会からは、「縄文遺跡は全国に分布する。なぜこの4道県なのか」との疑問も呈された。縄文中期の集落で国特別史跡「尖石遺跡」がある長野県茅野市は、「世界遺産登録も視野に入れながら遺跡や縄文文化をPRしていきたい」と昨年から文化庁に聞き込みをしている。
 世界遺産は1000件を超え、登録を審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)は審査件数を減らす検討をしている。弘前大の関根達人教授(考古学)は「候補から外れ、暫定リストに残され続けることがなければいいが…」と懸念し、「4道県以外との連携も重要ではないか」とみる。


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2016年10月24日月曜日


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