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「仮設の町」87歳詩作 バンドマン作曲応援

普段は詩を書く4畳半の居間で釣崎さん(左)と談笑する遠藤さん

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市の無職遠藤きぬこさん(87)が、仮設住宅の日々を詩につづっている。情感たっぷりの詩は北海道月形町のアマチュアバンドマン釣崎等さん(67)の胸に響き、詩に曲を付けてもらうなど交流が広がっている。遠藤さんは「ペンを持てるうちは書き続けたい」と意欲を見せる。

 羽をなくした
 母子鳥
 とぶにとべない
 母子鳥
 せまいねぐらに
 ひざ寄せ合いて
 天空眺めて
 何思う

 遠藤さんは震災後、独学で詩作を始めた。主な題材は、雲の流れや鳥のさえずりといった日常のありふれた出来事。仮設住宅を「仮設の町」と表現し、体が衰えていく自らの老いや生まれ育った港町の景色を詩に投影させる。
 住んでいた市内の借家が津波で流され、仮設住宅で次女(63)と2人暮らし。30年以上連絡が途絶えている長男(65)に寄せる思いも頻繁に登場し、「心のアルバム 我(わ)が子さがして ページをめくる」などと記す。
 使い勝手の良さから、半分に切った大学ノートを利用している。書きためた約350編の詩はノート6冊に達した。
 釣崎さんとの交流が始まったのは昨年5月。遠藤さんの詩をテレビで知った釣崎さんが石巻市を訪れ、市社会福祉協議会の協力を得て遠藤さんと出会った。
 遠藤さんは突然の来訪に驚いたが、釣崎さんが詩に曲を付けた歌を披露すると瞬く間に距離が縮まった。
 釣崎さんは震災以降、年に2回ほどボランティアで陸前高田市に滞在する。昨年から石巻市にも足を運び、自宅のパソコンで作った詩集やCDを渡したり、集会所でギターの弾き語りをしたりして遠藤さんの生活に刺激を与えている。
 遠藤さんは年内にも市内の災害公営住宅に移る予定。釣崎さんは「まずは新しい家に入るまで元気でいてほしい」といたわり、遠藤さんは「学校もろくに行っていない私の詩に目を向けてくれて、ありがたいの一言」と感謝する。


2016年10月25日火曜日


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