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<ハワイ津波対策>発生予測 世界中に発信

津波発生に目を光らせる米太平洋津波警報センター。右はマックリーリ所長

 米国ハワイを拠点に減災に取り組む二つの津波対策機関が、東日本大震災を経て存在感を増している。米太平洋津波警報センター(PTWC)と、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際津波情報センター(ITIC)。津波防災の啓発強化を目指す国連が昨年12月制定した「世界津波の日」(11月5日)を控え、世界の津波の7割以上が起きたとされる太平洋で続く実践に改めて注目が集まる。(報道部・藤田和彦)

<24時間体制で監視>
 ハワイ州ホノルルの市街地から西へ約10キロ。真珠湾にも近い米軍基地内にあるPTWCは米海洋大気局(NOAA)の一組織だ。太平洋で地震が起きれば津波発生の有無を予測し、沿岸各国に情報提供する。
 地球物理学者や海洋学者らが交代で常駐。日本の気象庁など各国機関と協力し、約600カ所に設置した潮位計、約60カ所の海底津波計から送られる観測データを基に24時間体制で監視を続ける。チャールズ・マックリーリ所長は「毎回異なる様相を見せるのが津波。データ解析の精度を高め、避難に役立てたい」と語る。
 PTWCと同じフロアにあるITICはユネスコ政府間海洋学委員会の下部組織。各国の津波予報・警報システムの改善に向け助言するほか、PTWCが出す津波警戒情報の活用について気象関係機関向けの研修を行うなどしている。

<チリ地震きっかけ>
 両センターとも設立のきっかけは1960年のチリ地震津波。日本やハワイを含む環太平洋地域で多数の犠牲者が出たのを受け、国際協力で情報を共有し、対策を取る機運が高まった。
 2011年10月には、両機関がカバーする太平洋をモデルに、ユネスコ主導で構築されたインド洋の津波警報システムの運用が始まった。巨大津波で22万人以上が死亡した04年のスマトラ沖地震を教訓に、インドネシアやインド、オーストラリアなどが警戒態勢を整えた。
 ホノルルで9月15〜17日にあった「世界津波の日」のプレイベント(東北大災害科学国際研究所、ハワイ大マノア校主催)でもITICが取り組みを報告。参加者からは「東日本大震災の経験を今後の備えに生かしたい」と国際的な協力体制の重要性を指摘する声が上がった。
 震災では米西海岸やエクアドル、ペルーなど太平洋沿岸各国に津波が到達。国境を超えて襲いかかる津波への意識が世界的に高まった。大西洋や地中海でも津波警報システムづくりを探る動きがある。

[メモ]米太平洋津波警報センターは1968年設立。ハワイで約160人の犠牲者が出た46年のアリューシャン地震を機に、49年構築された津波警戒システムを母体に発足した。科学者ら十数人で構成。東日本大震災ではロシアや台湾など30以上の国と地域に「津波到達の恐れがある」と警告した。国際津波情報センターは65年設立。職員3人。津波多発国のチリや日本との結び付きが深く、日本の気象庁職員が在籍していたこともある。


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2016年10月25日火曜日


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