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<大川小訴訟>「想定外」免罪符にならず

大川小校舎=2016年2月11日、宮城県石巻市

 【解説】宮城県石巻市大川小津波訴訟の仙台地裁判決は学校教員に対し、震災発生から刻々と変化する事態に的確に対処する判断力と行動力を求めた。「想定外」は免罪符にはならないと、教育界に警鐘を鳴らした意義は大きい。子どもの命を預かり、守る覚悟が改めて教育現場に問われている。
 津波を予見できたタイミングについて、地裁は市広報車が高台への避難を呼び掛けた3月11日午後3時30分と認定。「津波の襲来まで7分間の余裕があり、教員は可能な限り被災を回避できる場所に児童を移動させる義務を負っていた」と指摘した。
 避難先を巡っては、土砂災害の恐れがあったとされる裏山と、避難先に選んだ標高約7メートルの北上川堤防付近(三角地帯)の安全性を比較。「大津波が迫る中、児童の生命を最優先すべきだった」と緊急時の判断ミスを過失と認定した。学校が住民と協議して避難先を決めたとされる点は「児童の安全を優先し、学校自ら決断すべきだ」と自主性を求めた。
 一方、大川小の危機管理マニュアルは、津波に対する検討の不備が遺族側から指摘されていたが、判決は詳しい言及を避けた。
 津波が襲来するまでの51分間を知る、唯一の生存教諭(男性教務主任)への尋問は見送られ、「避難が遅れた理由」は十分解明されなかった。病気休職中とはいえ、教諭は第三者事故検証委員会の聞き取りに複数回、最長3時間応じており、地裁の判断は極めて残念だった。
 岩手県の洪水被害や熊本地震など全国各地で災害が頻発する中、「想定外」という言葉が今も繰り返されている。大川小の児童・教職員84人の犠牲を無にしない、との誓いは教育界にとどまらないはずだ。(報道部・斉藤隼人)
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 東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に約23億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は26日、「教員らは大津波の襲来を予見でき、裏山に児童を避難させるべきだった」と学校の責任を認め、計約14億2660万円の支払いを命じた。学校の管理下で震災の津波の犠牲になった児童生徒を巡る司法判断は初めて。


2016年10月27日木曜日


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