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<大川小訴訟>教員の判断力 重要に

宮城県石巻市の大川小の被災校舎。仙台地裁は地震後の避難で学校側の過失を認定し、計約14億円の支払いを市と県に命じた=26日午後

 仙台地裁で26日にあった宮城県石巻市大川小の津波災害を巡る訴訟の判決は、教員の避難判断の過ちが児童の犠牲を招いたと指摘した。大川小の悲劇に何を学び、学校の管理下で子どもの安全をどう守るか。行方不明を含め、失われた児童74人の命は教育現場の一人一人に未来永劫(えいごう)、問い続ける。
 「あまりにも犠牲が大きく、遺族側に寄り添った判決になると思っていた。短時間での判断を教員に求めた点は、子どもの命を預かる現場にとって非常に厳しい」。宮城県沿岸部の小学校の男性校長は複雑な胸の内を明かす。
 震災時は仙台市の小学校に勤務していた。避難者が体育館や校舎にあふれ、対応に追われた。訓練もマニュアルも機能しなかった。
 「裁判の勝ち負けではなく、学校防災の教訓として、亡くなった子どもたちと教員仲間のような思いを二度とさせてはならない」
 自分なら冷静な判断を下せたのか。折に触れて大川小を訪ねて冥福を祈り、自問自答を重ねる。
 学校防災に詳しい数見隆生東北福祉大教授は「子どもにとって学校は一番安全な場所でなければならない。全国全ての教員が判決をかみしめ、子どもの命と向き合う仕事の重さを考えてほしい」と語る。
 数見教授は大川小事故検証委員会の委員を務めた。判決が、地震発生前の注意義務や児童を約45分間、校庭に待機させた判断について、教員の責任に踏み込まなかった点には「教訓という意味では足りない」と指摘する。
 「『自然災害だから仕方なかった』で済ませてはならない。誰か一人でも、避難を主導する強い動きが、あの場所にいた大人にあれば児童は助かった。教育行政の在り方、教員の資質を問い直す必要がある」と数見教授は訴える。
 岩手県教委の小野寺哲男学力・復興教育課長は「判決にはコメントできない」とした上で「緊急時、災害時は校長の判断を待てない場合もある。教員が短時間で適切に判断できる力を養うことが重要だ」と述べた。大船渡市教委の千田晃一学校教育課長は「震災を経験した教員の大半は内陸部に転勤した。教訓を伝えなければ」と気を引き締める。
 福島県教委健康教育課の担当者は「大川小の事例は人ごとではない。震災以降一貫して積み重ねた教訓を生かし、学校の防災体制を強化する」と話した。火山や活断層にも触れ「想定外の事態に直面した時、教職員が臨機応変に対応できる体制を整えたい」と語った。


2016年10月27日木曜日


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