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<全町避難>浪江再生へ 笑顔と活気取り戻す

海鮮丼を準備する黒坂さん(右)

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県浪江町に27日、仮設商業施設「まち・なみ・まるしぇ」がオープンした。入居者で最年少の黒坂千潮さん(38)は「海鮮和食処くろさか」を開いた。高校卒業と同時に離れた故郷にUターンし、「少しずつでも、笑顔と活気が戻ってほしい」と復興を願う。
 真新しいキッチンで、マグロやサーモンを手際よく盛り付ける。海鮮丼をはじめ20種類以上のメニューを用意する。提供する魚介類は全て相馬港直送だ。
 黒坂さんは町役場近くにあった寝具店の次男として生まれた。高校卒業後は料理人を志し、東京のすし店などで修業を積んだ。
 30歳で都内にすし店を開いた。軌道に乗るにつれ、「いずれは地元で店を」との思いが薄れていく中、東日本大震災と福島第1原発事故が発生。実家の寝具店が廃業に追い込まれた。
 「町内に商業施設ができる」。両親から電話があったのは今年春。都内の店に代わって開店した埼玉県の店がこれからというときだった。
 「古里・浪江が前例のない復興に取り組んでいる。今こそ行動しよう」。悩んだ末、帰郷を決心した。
 町内の除染や家屋解体は道半ば。町を通じて募集した従業員の応募もまだなく、しばらくは両親に頼って切り盛りすることになる。
 「まずは(除染や復興の)先頭に立つ作業員においしい料理を提供し、頑張ってもらいたい。いずれは遠くからも地元出身者が集まり、同窓会を開いてくれるような店にしたい」
 住民の帰還が進み、にぎわいの戻った浪江で、仮設ではない自前の店を開く日を思い描く。


2016年10月28日金曜日


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