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<いじめ>認知件数 東北6県で増加

 2015年度の児童生徒問題行動調査で、東北6県のいじめ認知件数は、いずれも前年度から増えた。文部科学省が昨年夏以降、積極的な認知を全国の教育委員会に繰り返し要請した効果が表れた形だが、いじめの定義が広がる中での認知推進の「圧力」に、教育現場には戸惑いもある。
 過去5年間の児童生徒1000人当たりの認知件数はグラフの通り。山形や岩手で顕著な伸びを示す一方、青森や福島は低水準でほぼ横ばいが続き、6県間の差が広がっている。
 最多の宮城と最少の福島の差は14年度の約17倍から約12倍(宮城70.8件、福島5.8件)に縮まったが、依然大きな開きがある。福島県教委の担当者は「(他県に比べ)落ち着いた子が多いからで、実態を反映した件数だと思う。積極的な認知を促しており、学校を信頼している」と話す。
 文科省の認知推進は、岩手県矢巾町で15年7月に起きた中2男子の自殺が契機だ。男子へのからかい行為などを学校がいじめと判断せず、悲劇を招いた。
 文科省は同8月、14年度のいじめに関する問題行動調査のやり直しと「認知件数が多い学校を極めて肯定的に評価する」方針を各教委に通知。今年3月にも15年度調査を前にした通知で「認知件数の多さは教職員の目が行き届いていることの証し」と念押しした。
 いじめ防止対策推進法は「心理的、物理的な影響を与え、心身の苦痛を感じさせる行為」をいじめと定義する。好意でも意図せず相手を傷つける行為なども含まれ、社会通念上のいじめより幅広い。
 同法の見直しに向けた文科省の有識者会議では「いじめが広義すぎて解釈に差が生じている」との意見もあった。ただ、24日にまとめた提言案では「認知件数が少ない自治体には個別に指導する」とされ、「圧力」は強まる一方だ。
 宮城県内のある中学校長は「認知件数の差はいじめに発展しそうなトラブルか単なる人間関係のトラブルか、捉え方が影響しているのだろう。広くなったいじめの定義に従って認知すれば、件数が多くなるのは当然だ」と指摘。その上で「いじめを早期に発見し、解消に向けて対応するためのものという原点を忘れてはならない」と認知件数のみの追求には警鐘を鳴らす。


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2016年10月28日金曜日


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