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<大川小訴訟>遺族「これ以上苦しめないで」

亀山市長が控訴の方針を示した日も、被災した大川小校舎で多くの人が手を合わせた=28日午後3時50分ごろ

 石巻市大川小津波訴訟で28日、亀山紘市長が控訴する方針を固めたことを受け、原告遺族に怒り、落胆が広がった。「これ以上、苦しめないで」。悲痛な声も漏れた。
 6年生だった長男大輔君=当時(12)=を亡くした原告団長の今野浩行さん(54)は「犠牲になった子どもの命や未来の命よりも、組織や自分の立場を守るために裁判と向き合っている」と憤る。
 なぜ、大川小の74人の児童が学校管理下で亡くなったのか。真実を知ることは裁判でもかなわなかった、と今野さんは感じる。「裁判は結果が目的ではない。市は控訴した場合、行政や教育関係者が子どもの命を守らなくてもいいとの主張を繰り返すのか」と語る。
 仙台地裁判決が言い渡された26日、主張が退けられた亀山市長は「結果について大変重く受け止めている」と述べていた。
 3年生だった一人娘の香奈さん=同(9)=を失った原告の中村次男さん(42)は「判決から2日しかたっておらず、即日控訴のようなもの」と、性急な亀山市長の判断を批判する。
 30日の市議会臨時会で市は控訴に関する議案を提出する。焦点となる市議会の対応に、中村さんは「学校や市教委の事後対応でも深く傷ついた。裁判を長引かせ、亡くなった子どもたちや遺族をこれ以上、苦しめないでほしい」と訴える。
 津波で被災した大川小校舎には28日も、多くの人が献花などに訪れた。
 子どもたちの冥福を祈った埼玉県戸田市の無職大矢美菜子さん(47)は「原告、被告のどちらの主張が正しい、と軽々しくは言えない。ただ、先生たちは子どもたちを津波被害に遭わせたいわけではなかったと思う」と話し、「大川小のような悲劇が二度と起きないよう全国の教育現場で対策を講じてほしい」と求めた。


2016年10月29日土曜日


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