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放射光新施設本格検討へ 東北が積極誘致

 文部科学省は、物質の構造を原子レベルで解析する次世代の大型放射光施設の建設に向けて本格的な検討に入った。専門家らを集めた量子科学技術委員会量子ビーム利用推進小委員会の初会合を11月7日、東京都内で開く。東北では全国に先駆けて産官学を挙げた誘致活動を展開しており、実現への動きが一歩前進する。
 同省が検討に入るのは、紫外線より波長の短い軟エックス線専用の放射光施設。炭素、酸素、窒素など軽い元素の解析に適する。材料表面の詳細な分析が可能になり、製薬、燃料電池など多様な新製品開発に活用できる。
 軟エックス線の放射光施設は近年、欧米や台湾、ブラジルで建設が進む。ものづくりの国際競争力強化のため、国内での新設を求める声が学者や産業界から上がっている。
 小委員会では専門家を交えて国内外の研究動向、求められる性能、政策的意義に加え、立地場所や運営主体も議論する見通し。検討期限は設けない。
 東北大など東北の国立7大学が2012年6月に設立した東北放射光施設推進会議は、1周約350メートルのリング型施設を計画。世界最大のスプリング8(兵庫県佐用町)より100倍明るい光の性能を想定し、建設費は約300億円を見込む。
 東北の7大学や東北6県、経済団体は14年7月に東北放射光施設推進協議会を設け、東北での建設に向けて国への要望やニーズを掘り起こしてきた。東北経済連合会は、民間で建設費の一部を賄おうと財団の設立も模索している。
 文科省研究開発基盤課量子研究推進室は「東北の動きは把握しているが、立地の優位性はゼロベースで検討する」と説明。東北の協議会関係者も「まだ喜べる段階ではない。慎重に進めたい」と話す。

[大型放射光施設]電子を光に等しい速度まで加速させ、磁場の力で電子を曲げた際に発生する放射光を利用して物質の構造を分析する装置。原子レベルで物質を見る巨大な顕微鏡とも言われる。学術研究のほか医薬品、農業・食品、燃料電池の新開発など幅広い分野に利用されている。現在、国内には世界最大の「スプリング8」(兵庫県佐用町)など大小9施設ある。東北での立地はない。


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2016年10月30日日曜日


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