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<三陸沿岸道>「命の道」で産業再生

開通を祝いテープカットをする宮城県や南三陸町の関係者ら=30日午前11時20分ごろ、南三陸町の志津川IC

 宮城県南三陸町は30日、三陸沿岸道志津川インターチェンジ(IC)の運用開始で、大消費地の仙台市と高規格道路でつながった。地元は歓喜に沸く一方、東日本大震災からの再興に結び付けるため、交通ネットワークを最大限に生かす知恵を絞らなければならないとの声も上がる。
 「皆さんの思いがやっと実現した」。佐藤仁町長は、30日の開通式典でこうあいさつした。町は1980年代後半から、三陸沿岸道延伸の要望を繰り返した。当時は過剰な公共投資だと指摘する声があり、計画は具体化されなかった。
 震災で風向きが変わる。津波で国道が寸断され、被災地が孤立した。国は三陸沿岸道を災害時の代替輸送を可能にする「命の道」と位置づけ、整備を加速させた。
 悲願の延伸が着々と進む半面、2015年の国勢調査で町の人口は5年間で29%減少した。観光客は震災後、12年の90万人をピークに伸びていない。町は交流人口の拡大を目指し、高規格道路に期待を寄せる。
 観光と並ぶ基幹産業の水産業にも追い風となるのは確実。輸送が効率化し、大消費地の仙台や首都圏へ海産物を出荷しやすくなる。深刻な人手不足に陥る水産加工業は通勤圏が広がることで、町外から労働者を呼び込める環境が整う。
 ただ、ICを起爆剤にした産業振興策は進んでいない。周辺の被災跡地の土地利用策も白紙のまま。「町以北の三陸沿岸の水産物を集荷する物流拠点が必要」(町内の運送会社関係者)との声もある。
 高速交通網の整備は、商圏の変化に伴う消費者の流出にもつながりかねない。「南三陸さんさん商店街」の移転先で、来年3月にオープンする商業施設の運営会社「南三陸まちづくり未来」の三浦洋昭社長は「開通してからが正念場。観光客だけでなく地域に愛される商店街にしなければならない」と策を練る。


2016年10月31日月曜日


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