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<大川小訴訟>遺族悲嘆「誰を信用すれば」

傍聴席で臨時会を注視する香奈さんを亡くした原告の父中村次男さん(右端)ら=30日午後3時ごろ

 「誰を信用すればいいんだ」。宮城県石巻市大川小津波訴訟で30日、市が提出した控訴関連議案が市議会臨時会で可決された。「市議会の良心」を信じていた原告遺族は失望し、悲嘆に暮れた。
 結果が出た瞬間、傍聴席にいた遺族たちが泣き崩れた。「子どもたちを返して」。午後6時25分ごろ、本会議での起立採決。遺族約20人の目の前で市議が次々と立ち上がり、議案は賛成多数で通った。
 3年生だった長女香奈さん=当時(9)=を亡くした中村まゆみさん(43)は「ショックで言葉になりません」と声を震わせた。一人娘の香奈さんとの料理が楽しみだった。卵焼きの作り方を教えると、「香奈もやってみる」と喜んで作った。生前の娘の姿を思い起こしながら言う。「これでは子どもたちが浮かばれない」
 亀山紘市長は臨時会で、控訴の理由を「現場にいた先生に重い責任を負わせるのは酷だ」と説明した。
 6年生だった三男雄樹君=同(12)=を失った佐藤和隆さん(49)は「市議会は、子どもの命を最優先に守らなくていいという議決をした。悔しくてならない」と怒りをあらわにした。
 東日本大震災から5年7カ月、提訴から2年7カ月。佐藤さんは臨時会の前、「子どもたちもこれ以上の不毛な争いは喜ばない。正常な形で話し合いがしたい」と思っていたが、その望みはかなわなくなった。
 臨時会で境直彦教育長は「判決の内容にかかわらず、防災教育の充実、強化に努めていく」と述べた。
 6年生だった長男堅登君=同(12)=を亡くし、4年生だった長女巴那(はな)さん=同(9)=が行方不明の鈴木義明さん(54)は「行政や教育委員会、議会がこのような対応をしていたら、今後も学校防災は変わらない」と語気を強めた。


2016年10月31日月曜日


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