岩手のニュース

<道しるべ探して>情報発信「まち」広げる

集落情報誌「まめでらが〜」と高橋さん。全国の小繋沢出身者にふるさとの今を伝える

◎とうほく共創 第5部つながり(中)ふるさと

 「まめでらが〜(元気でいるかい)」。心がほっこりするような題号と共に、無事、ふるさとの近況を届けることができた。
 岩手県西和賀町小(こ)繋(つなぎ)沢(さわ)集落が、都会に出た子どもやきょうだいの元へ送る集落情報誌だ。地域づくり組織事務局長の高橋純一さん(61)が手掛ける。
 2011年の創刊以来、年に1、2回、250部を発行。年々増え続ける送り先は、40世帯100人の集落にとって歓迎すべきことなのか。高橋さんの胸中は複雑だ。
 ともあれ最新号には、特産の一本漬けに使う大根の収穫やソバの種まき、敬老会の様子を写真入りで紹介できた。亡くなった住民の名前も載せた。先細る集落の現実を、ありのまま伝える。

 創刊のきっかけは地域の祭りだった。高齢化でみこしの担ぎ手が不足し、地元出身者に頼ろうとしたとき、自分たちはこれまで何一つ情報を発信してこなかったと気付いた。
 「サケだって生まれた川に帰る。ふるさとの今を伝えて、せめて祭りの時だけでも戻って来てくれたら…」。毎号、集落の活動計画を掲載し、人手が足りない行事には印を付けて参加を呼び掛けた。
 徐々に反響の手紙やメールが届くようになり、盆踊りの参加者も心なし増えたような気がする。
 町も、地元を離れた人たちを「拡大コミュニティー」と位置付け、地域づくりの戦力とする。住民票がなくても、さまざまな形でふるさとに関わってくれれば、集落は維持できるとの発想だ。
 「人口減少や高齢化にあらがえないとしても、外の力を借りて、その時を一日でも先に延ばせたらいい」と高橋さんは願う。

 東京電力福島第1原発事故で福島県浪江町は全町避難を強いられ、約2万人の町民が散り散りになった。
 町は15年1月、希望する7000世帯にタブレット端末を貸与。避難の長期化で失われつつある町民同士のつながりを最先端機器に託した。
 町民は、写真や文章が投稿できる機能を使って避難先の暮らしを報告し合う。「ふるさとへの愛着が深まった」と評判は上々だ。町の調査に利用者の約6割が「満足」と答えた。
 町復興推進課の山田直行さん(37)が期待を込めて語る。「タブレットがふるさとへの帰属意識を保つ場になっていれば、そこに町はあり続ける」


2016年10月31日月曜日


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