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住宅+店舗複合ビル 被災地の人口回復に成果

被災市街地のにぎわい回復に向けて完成した複合ビル「夢コモンズ」=気仙沼市南町

 東日本大震災で被災した気仙沼市中心部で、災害公営住宅と店舗を組み合わせた「共同化事業」と呼ばれる複合ビルが相次いで完成している。住まいと生業をセットで再建し、市街地のにぎわいを回復させるのが特徴。被災自治体では数少ない試みで、復興に一定の効果が期待される。

 市が内湾地区土地区画整理事業を進める南町1丁目で先月下旬、複合ビル「夢コモンズ」の竣工(しゅんこう)式があった。
 「共同化事業で人も店も南町に戻すことができ、万感の思いだ」。地権者の一人で、事業主体の合同会社の代表社員を務める村上力男さん(75)=すし店経営=は、出席者に語った。
 ビルは鉄筋コンクリート6階で延べ床面積3870平方メートル。事業費16億円。1階はかまぼこ店や工場、デイサービス施設、上階に災害公営住宅36戸が入る。
 こうした複合ビルは内湾地区に4カ所あり、3カ所が完成している(表参照)。被災した複数の民間事業者らが事業主体となり、完成後は住宅部分を市が買い取る仕組みだ。
 被災地の災害公営住宅は集合住宅などが単体で建設されているが、内湾地区は市街地でまとまった用地に乏しい。震災当時にテナントだった店も多く、一部地区が災害危険区域に指定されたことで、店と住宅の個別再建が難しくなった。
 そこで、民間が土地を集め、住宅も店も造る構想が生まれた。複合ビル3カ所は制約の多い区画整理事業区域にあるが、共同化実施街区は複数の地権者が関わるため優先的に事業を進められる利点がある。かまぼこ店を営む尾形啓一社長(51)も「店を個別再建するつもりだったが、人が住まない街ににぎわいは戻らない」と事業に協力した。
 市によると、内湾地区(魚町、南町)の人口は震災前の1000から500に半減した。複合ビルは店舗の再建に加え、完成した3カ所の公営住宅に45世帯78人が居住予定。4カ所合わせると約100人が生活する見通しで、まだ空きはあるものの、人口回復に一定程度寄与することになる。
 4カ所はいずれも優良建築物等整備事業など複数の公的補助を活用するが、民間の負担は小さくない。夢コモンズの事業に加わった東京の一般社団法人「チームまちづくり」の松本昭事務局長は「投資資金を回収するためにも、背伸びしない規模にし、テナントで確実になりわいを続ける事業者を確保することが重要だ」と指摘する。


[優良建築物等整備事業] 復興交付金の基幹事業の一つ。被災地に共同住宅と他施設を複合的に整備したり、被災マンションを建て替えたりする場合、共用部分の整備(補助率5分の4)に活用できる。条件は地区面積500平方メートル以上、3階以上など。復興庁によると、石巻、気仙沼、仙台、いわき各市に14事業があり、気仙沼の4事業が災害公営住宅と組み合わせた。


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2016年11月03日木曜日


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