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<復興へのリレー>本音で連携深め充実感

最後の県中学総体で懸命にプレーする小松さん(右)と高橋さん

◎石巻・スポーツの群像(6)バドミントン 石巻大須中・小松あゆみさん(14)、高橋愛佳さん(15)

 宮城県石巻市大須中は本年度限りで閉校する。全校生徒はわずか7人。3年の女子2人が今年、最後の宮城県中学校総合体育大会で、地区大会を勝ち抜いて県大会に挑んだ。
 バドミントン部の小松あゆみさん(14)と高橋愛佳さん(15)。
 個人戦ダブルス1回戦で宮城県富谷市成田中のペアと対戦した2人は、盛んに声を掛け合って奮闘したが、0−2で敗れた。夏の大舞台を終え、悔しさで目を赤くしながらも、2人には充実感があった。「練習中から支え合い、頑張ることができた」

<大震災後に再会>
 知り合ってから約10年になる。ともに宮城県石巻市雄勝町で育ち、保育所が同じだった。いったん離れ離れになったが、東日本大震災が結び付ける。
 小松さんは同市大須小3年の時、震災で父親の鉄男さんを亡くした。宮城県女川町で漁業関係の仕事をしていた鉄男さんは船にいた人らを逃がし、津波に巻き込まれたという。
 高橋さんは当時通っていた同市船越小の校舎が被災し、大須小へ転校した。「知っているあゆさんがいてほっとした」と言う。

<先輩の声で動く>
 バドミントンでペアを組んだのは、大須中に入学して1年の秋。相手を傷付けまいと気遣うあまり、互いに干渉せず、コミュニケーションが不足していた。
 その年の冬。部活の顧問に諭され、部員同士が話し合った。「本音を言うんだよ」。1学年上の高橋美空(みく)さん(15)が涙ながらに訴えた姿に2人の心が動く。
 「一生懸命助言してくれた思いを踏みにじらないようにしよう」。心にためていたことを言い合うようになる。それがプレーの連携を深めた。後衛の小松さんが相手ペアを揺さぶり、前衛の高橋さんがスマッシュを決める。そんな戦い方を磨いた。
 大須中は1958年の開校。来年4月、震災の影響や生徒数の減少などで同市雄勝中と統合される。

<学び 次の夢育む>
 小松さんはずっと、大切な父を失ったことを人前では話せなかった。今では話せる。「お父さんのように人の力になれる人間になりたい」。子どもが好きで保育士になる夢を描く。
 高橋愛佳さんは前生徒会長。「生徒は少ないけれど、一人一人に主張や葛藤があり、まとめるのは大変だった。でも、部活動を通し、協力することの大切さを学んだ」
 一足先に大須中を巣立ち、高校へ進んだ美空さんは後輩に思いを託す。「大須中の名前がなくなってしまうのは寂しいけれど、残りの時間もたくさん思い出をつくってほしい」
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 東日本大震災の最大被災地、宮城県石巻市ゆかりの人々が東北のスポーツ界で活躍している。子どもから大人まで、選手や指導者、競技を支える住民…。震災からの復興を願いながら一線で奮闘する思い、群像を描く。(石巻総局・水野良将)


2016年11月04日金曜日


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