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<官製談合>がれき撤去 町と蜜月

八木工務店が購入した吉田容疑者宅周辺の土地=宮城県亘理町逢隈高屋

 宮城県亘理町が発注した東日本大震災の復旧工事を巡る不正入札事件で、官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された土建業の社長2人は、町発注の震災がれき撤去事業で地元業界の窓口として町との関係を急速に深めていった。がれき撤去事業は緊急性を理由に入札なしの業務委託の形で多額の事業費が投入された。2人は窓口の立場を利用し、入札案件も取り仕切っていた可能性がある。
 町は2011年4〜5月ごろ、家屋解体やがれき運搬業務などを町内の建設・土木業者13社でつくる業界団体「町災害防止協議会」に委託。当時の協議会長が八木工務店社長の八木昌征容疑者(65)=亘理町長瀞=で、会計幹事が渡辺工務店社長の渡辺勝利容疑者(54)=同=だった。
 町は特例として、がれき撤去事業の入札をせずに災害時協力協定を結んでいた協議会に業務を委託した。協議会の13社を中心に町内外の計29社が事業を請け負い、11年度には総額約44億円が支払われた。
 町内の業界関係者は、八木、渡辺両容疑者について「業者側の窓口」と口をそろえる。役場関係者も「震災後、入札を担当する企画財政課に2人が頻繁に出入りしていた」と証言する。
 13年4月、企画財政課長に就いたのが吉田充彦容疑者(55)=同町逢隈高屋=だ。八木容疑者の求めで14年10月と15年5月に自宅近くの土地を売却。売却額はそれぞれ数千万円に上るとみられ、2人の近すぎる関係を危ぶむ声もあった。
 吉田容疑者が課長時代の13〜15年度、町発注の一般競争入札は計56件。このうち51件の落札率(予定価格に占める落札価格の割合)は、談合の疑いが濃いとされる95%を上回った。
 八木工務店は13年8月期決算で売上高が過去最高の14億500万円を計上。15年決算はピーク時の4割まで減った。渡辺工務店も15年5月期はピーク時の6割にとどまり、先細る復興事業の差配を巡り不正入札が起きた可能性もある。
 今回の事件では最初の落札業者が入札のやり直しに異議を唱えないなど不可思議な態様があり、町の業界関係者は「談合があった証拠」と指摘する。県警は八木、渡辺両容疑者と共に入札に参加していた共同企業体(JV)の代表者らを任意で事情聴取し、真相解明を急いでいる。
 3人の逮捕容疑は15年11月13日に町が実施した荒浜地区の排水路復旧工事の条件付き一般競争入札で、JV代表の八木容疑者らが入札のやり直しを吉田容疑者に申し入れ、確定した入札をやり直させた疑い。


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2016年11月05日土曜日


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