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<津波防災の日>釜石市が備え強化

 東日本大震災で1000人以上が犠牲になった岩手県釜石市が本年度、経験と教訓を生かして津波防災の強化に力を入れている。津波防災の日の5日には、本年度2回目の避難訓練を実施する。訓練の参加率向上を目指し、市防災会議内に専門委員会を設置。約4年間の震災検証を通じてまとめた市独自の教訓集を全戸に配布した。
 5日の訓練は午後1時に始める。震度5強の地震が発生し、30分後に巨大津波が押し寄せるとの想定で実践する。消防団や自主防災組織の関係者が集まって7月に発足した専門委で、市民が参加しやすい休日午後の訓練を望む声があり、取り入れた。
 沿岸部に住み、津波の際に避難が必要な市民は約1万1000人に上る。市の千葉博之防災危機管理課長は「一回でも訓練で避難場所に行くことが大事だ。非常時に必ず役立つし、今後の訓練参加のハードルも下がる」と呼び掛ける。
 独自の教訓集「未来の命を守るために」は、A4判43ページで今月にかけて配った。「揺れたら、ただちに高台へ」「逃げるときは声を掛けながら」「子供を学校へ迎えに行かない」など津波時の行動に加え、避難生活や今後の備え、未来への伝承に関する18の教訓を示した。
 ハザードマップなどの想定や過去の津波の経験にとらわれることにも警鐘を鳴らす。教訓の基になった市民証言集とともにウェブサイトで公開した。
 市防災・危機管理アドバイザーの斎藤徳美岩手大名誉教授は「悲劇を繰り返さないことが行政の責任。震災前の津波防災で具体的に何が足りなかったかを反省し、率先して改善すれば他の自治体のモデルになるはずだ」と話している。


2016年11月05日土曜日


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