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<どうなる和牛市場>異常 早く適正価格に

競りに出された和牛子牛。電光掲示板に表示される競り値はみるみるうちに跳ね上がった=9月13日、美里町のみやぎ総合家畜市場

 和牛子牛(生後300日前後)の取引価格が高騰を続け、関係者を悩ませている。高齢化と東日本大震災の影響で廃業する繁殖農家が相次ぎ、子牛の供給頭数が減ったからだ。子牛を成体に育てる肥育農家からは「高すぎる」と悲鳴が上がる。宮城では来年9月「全国和牛能力共進会(全共)」が初めて開催される。宮城は肉用牛の飼養戸数が全国4位、頭数は7位の畜産県だけに、生産現場や食肉市場に不安が広がる。(若柳支局・横山寛)

◎高騰続く子牛相場(1)買えない肥育農家

 午前7時ごろ、真っ黒い毛並みの和牛子牛を載せたトラックが県内各地からやって来る。美里町のみやぎ総合家畜市場。毎月中旬の3日間は「子牛市場」が開催される。
 子牛はおおむね250キロから300キロ超。肥育農家や買い付け業者らに事前配布された冊子には、上場される子牛の生年月日や血統、生産農家名などが記されている。
 牛の発育の良さや肉質の善しあしは代々の血統で左右される。血統が良く体格が勝る子牛は、屠(と)畜される30カ月齢での枝肉重量や良い肉質が期待できるため、100万円を超える高値がつく。
 競りに参加する人たちはひな壇状のテーブルの椅子に腰掛け、次々に連れて来られる子牛を見極め、金額ボタンを押して競り値を入れる。午前10時から午後1時ごろまでの3時間で、1日約400頭、毎月約1200頭が競り落とされる。
 全農県本部によると、みやぎ総合家畜市場で競られた去勢子牛の本年度平均価格(10月まで、税抜き)は約82万5600円。近年の底値は2009年度の約36万3000円だから、この7年で2倍以上に跳ね上がったことになる(グラフ)。
 「お目当ての子牛の競り値が予想をはるかに上回り、買えないことがある」と県北の肥育農家は悲鳴を上げる。仕方なく予算範囲内でノーチェックだった牛を買ったこともあるという。
 もうかっているはずの繁殖農家も「今の子牛相場は異常だ。早く適正価格に落ち着いてほしい」といぶかる。子牛が高すぎて肥育農家がやっていけなくなると、繁殖農家は売り先を失うからだ。
 競りには県内のほか、山形県や関東、関西などから肥育農家らが参加する。県畜産試験場のスーパー種雄牛「茂洋(しげひろ)」、茂洋が父の基幹種雄牛「好平茂(よしひらしげ)」などは全国的に評価が高い。その血統の子牛を導入し、子取り用雌牛に育てるため、広島県など遠方の業者が20頭、30頭とまとめて買い付けに来ることもある。
 市場関係者は「遠くから足を運んだ以上、予定頭数は無理をしてでも競り落とす。こんなことも宮城の子牛価格高騰の一因になっている」と教えてくれた。
 子牛の販売先は6割が県内で、2割が山形県、残る2割は全国に広がる。登米市の肥育農家は「他県勢に競り負けることが少なくない。これから子牛の値段がどうなるのか。想像もできない」とため息をつく。


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2016年11月06日日曜日


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