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<和牛子牛高騰>肥育農家の経営圧迫

繁殖農家で今年2〜3月に生まれた子牛。12月ごろ、市場に出荷される=栗原市瀬峰野沢

 みやぎ総合家畜市場(宮城県美里町)に上場される和牛子牛(生後300日前後)の競り値が高騰を続け、肉牛を育てる肥育農家の経営を圧迫し始めている。子牛を生産する繁殖農家の高齢化が全国的に進んでいたさなかに東日本大震災が発生。宮城、岩手、福島の被災3県では廃業する繁殖農家が増え、子牛不足に拍車が掛かった。全国的に和牛枝肉の取引価格も高止まりしており、食卓や飲食業界にも影響が広がる可能性がある。

 全農宮城県本部市場流通課によると、今年10月の和牛子牛の平均価格(税抜き)は去勢が約84万1000円、雌が約73万円で、前年同月をそれぞれ約12万4000円、約12万円上回った。
 年度平均の近年最安値(同)は2009年度の約36万3000円と約31万円。この7年間で2倍以上に上がった。子牛価格は全国的に同様の高い水準で推移している。
 全農宮城県本部や畜産関係者によると、10年に和牛生産が盛んな宮崎県で口蹄疫(こうていえき)が発生して牛を大量に殺処分したため、子牛の品薄感が増した。翌11年に震災が発生。宮城県では沿岸部が津波被害に遭ったほか、内陸部でも福島第1原発事故の放射能汚染で稲わらが使えなくなり、これを機に廃業した高齢の繁殖農家もいたという。
 農林水産省畜産統計によると、全国で飼育される子取り用雌牛数は、震災前(10年)に68万3900頭だったが、16年は58万8100頭と9万5800頭(14.0%)減った。
 減少が目立つのは被災3県だ。岩手は10年比18.5%減の3万2100頭、宮城は14.1%減の2万6100頭、福島は35.7%減の2万1000頭となり、全国を上回るペースで飼育数が減少した。
 仙台市中央卸売市場食肉市場では震災前、去勢和牛の枝肉取引価格(A5等級)は1キロ当たり2200円前後だった。震災発生直後は放射能による風評被害もあり1500円を下回った時期もあったが、15年ごろから震災前の水準を上回るようになった。今年は2900円前後の高値で取引されている。
 肥育農家にとって枝肉価格の上昇は収入増につながるが、増収分は子牛購入費の高騰分で相殺されてしまうのが実情という。
 子取り用雌牛は1年1産が目標とされる。宮城県北の肥育農家の男性は「今年買った子牛を出荷する来年から再来年にかけて枝肉価格が現状のままなら、ほとんどの肥育農家は大きな赤字を抱えてしまう」と懸念する。

[A5等級]和牛枝肉の最高等級。枝肉の歩留まりにより多い順からAからCまで3等級、さらに脂肪交雑の度合いなど肉質等級で5から1に分類される。5は「かなり良い」で、1は「劣る」。


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2016年11月06日日曜日


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