山形のニュース

夫婦二人三脚 避難先で洋食店経営

二人三脚で店を切り盛りする塩川さん夫婦

 東京電力福島第1原発事故で相馬市から長井市へ避難した塩川嘉徳さん(49)、千夏さん(49)夫妻が同市に開店した洋食店が今月、3年目を迎えた。経営は徐々に軌道に乗り、市内に念願のマイホームも手に入れた。小学2年の一人娘聖奈さん(7)と家族3人、新天地で歩みを進める。

 原発事故前、嘉徳さんは相馬市で12年間、洋食店を営んでいた。評判の人気店だったが、東日本大震災で自宅を兼ねた店舗が半壊。当時2歳だった聖奈さんへの原発事故の影響を懸念し、実家のある山形県小国町に自主避難した。
 避難して数カ月後、長井市のホテルレストランの料理長に就いたが、激務のため1年で20キロ痩せた。慣れない土地と環境で、家族とゆっくり過ごす時間をつくれない生活が3年続き、将来を考えて定住を決意。長井に住民票を移し、2014年11月に店を開業した。
 ガレージだった空き店舗を全面改装した店は「しゃれた洋食屋さん」として開店当初から口コミで評判に。「店には関知しない」と決めていた千夏さんはパートの仕事を辞め、店を切り盛りするようになった。客の9割が女性で、常連客も増えつつある。
 食材に冷凍品を一切使わない嘉徳さんの手料理を、千夏さんが愛嬌(あいきょう)を振りまきながらテーブルに運ぶ。ランチからディナーまで長時間、夫婦二人三脚の日々が続く。店のバックヤードには聖奈さんの遊び場を設け、家族一緒に過ごす時間が増えた。
 「不安を抱えながら相馬で再建するより、ここで生活していく方が良かった。暮らしやすく、子育ての環境には向いている」と千夏さんは話す。
 嘉徳さんは、聖奈さんに働く姿を見せることに喜びを感じている。「手に職を持っていたから新しい土地でも比較的楽に次に進むことができた。ここに根差すよう地道に頑張っていきたい」と前を見据える。


2016年11月06日日曜日


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