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<復興へのリレー>笑顔 元気故郷に届ける

J1仙台のホームゲームで、笑顔でパフォーマンスを披露する相沢さん

◎石巻・スポーツの群像(8)ベガルタチアリーダーズ 相沢ひとみさん

<華やかにダンス>
 サッカーJ1仙台のホーム、ユアテックスタジアム仙台(仙台市泉区)が華やぐ。試合前やハーフタイムのピッチ。ベガルタチアリーダーズのメンバーがダンスで観客らを魅了する。
 トップチーム(18歳以上)10人のキャリアは多彩だ。ダンスの経験者や初心者、社会人、大学生…。パフォーマンスリーダーの相沢ひとみさんが練習メニューやダンスの振り付け、構成を練る。
 相沢さんは「熱心な仙台のサポーターなど多くの方々に、笑顔や元気を届けたい」と思いを語る。
 東日本大震災が発生したあの日、JR東京駅近くの飲食店でアルバイトをしていた。店の客を避難させた後、郷里の宮城県石巻市大街道地区に暮らす母親の安否を急いで確認した。

<生死の重み実感>
 「津波が来ている 2階に避難しているから大丈夫」「階段まで水が来ている どうしよう」。そこで携帯電話のメールが絶えた。
 母親の無事を電話で確認できたのは約1週間後。号泣する相沢さんに、母親が語り掛けた。「何泣いてんの?」。相沢さんは人の生死の重みを肌で感じた。
 幼い頃からバレエや踊りを習った。地元の高校から玉川大(東京)へ進学。同大の強豪チアダンスチームに入り、全米の大会で4位の実績を残した。
 卒業後は関東の小学校で講師として体育やダンスを指導。プロ野球チームのチアリーダーを経て、都内で働きながら今後を模索していた時、震災が起きた。

<地元に恩返しを>
 故郷の友人や知人の中には家族を亡くしたり、家に住めなくなったりした人がたくさんいる。
 「大切な人や住まいを失った悲しみは忘れられないと思う。チアを通じて地元に少しでも恩返しがしたい」。思いを募らせて2013年末に仙台市へ移り、ベガルタチアリーダーズのオーディションに合格した。
 03年から活動するベガルタチアリーダーズは在仙プロスポーツチームのチアリーダーで最も歴史が長い。
 相沢さんは、トップチームの下部組織に当たるジュニアチーム(小学生)やユースチーム(中高生)のメンバー、体験スクールの参加者らにも熱心に教える。
 ジュニアチームの小学6年森麻紘(まひろ)さん(12)は美しく見える姿勢やあいさつの大切さなどを学ぶ。「注意された点を少しずつ直し、団結力が生まれている」と指導を励みにする。
 復興支援として、健康体操教室の講師も担う相沢さん。参加した被災者らの笑顔や「楽しい」という一言に喜びを感じるという。
 ピッチ内外の目まぐるしい日々に、古里再生の願いがこもる。
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 東日本大震災の最大被災地、宮城県石巻市ゆかりの人々が東北のスポーツ界で活躍している。子どもから大人まで、選手や指導者、競技を支える住民…。震災からの復興を願いながら一線で奮闘する思い、群像を描く。(石巻総局・水野良将)


2016年11月08日火曜日


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