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<どうなる和牛市場>血統統一 ブランド化へ

栗原市畜産共進会で審査を受ける和牛。栗っこ農協は優良和牛の繁殖に力を入れている=7月9日、栗原市築館

 宮城県登米市や栗原市など県北では、かねて和牛の繁殖と肥育が盛んだ。みやぎ総合家畜市場(宮城県美里町)に上場される和牛子牛の4割ほどは栗原、登米両市の繁殖農家が生産している。

◎高騰続く子牛相場(3)力入れる宮城県北の農協

 迫川水系流域に平野が広がる米どころのため、畜舎に敷き詰めたり、餌にしたりする稲わらを豊富に入手できる。牛の排せつ物で作る堆肥は、稲作に欠かせない肥料になる。
 「県北は、資源循環型の耕畜連携で農業を営んできた。組合をつくって種牛(しゅぎゅう)の選抜を進めてきた地区もある。そんな研究熱心な農家が育てた子牛は、昔から高く評価されてきた」。県栗原農業改良普及センターの担当者が解説する。
 とりわけ優良子牛の繁殖に力を入れるのは栗っこ農協(栗原市)だ。以前、子牛の血統選びは繁殖農家任せだったが、「栗原として統一感を持って子牛を出荷しよう」と2004年、農協がとりまとめ役になり和牛生産先進県の鹿児島から優れた血統の雌牛の買い付けを始めた。
 子取り用雌牛にするため毎年150頭購入し、評価が高い宮城の種雄牛の凍結精液で人工授精して繁殖する。同農協の担当者は「鹿児島の牛は気性がおとなしいから飼いやすく、枝肉歩留まりもいい」と説明する。
 近年、肥育農家の大規模化が進んでいる。500頭規模ともなれば、暴れず飼いやすい子牛が喜ばれる。統一血統で肉質をそろえたいというニーズも高い。資金豊富な大規模農家が栗原産の子牛を競るため、高値が付きやすい。
 和牛の繁殖、肥育ともに盛んな登米市では優良な子牛の繁殖基盤を整備し、繁殖させた子牛は地元で肥育してブランド化しようと市と農協が連携して農家を支援する。
 市は、市内産で一定条件を満たした子取り用雌牛を購入した繁殖農家には年間最大50万円、市内産の子牛を購入した肥育農家には同75万円を補助する。みやぎ登米農協も予算の範囲内で助成金を支給する。
 こうした関係機関の取り組みもあり、今年9月に美里町であった県産牛の品評会では登米和牛育種組合が出品した雌牛が最高賞に選ばれた。品評会では毎年、登米市と栗原市の牛が好成績を残すという。
 同農協の担当者は「東北有数の食料供給基地の登米市で和牛生産は農業の柱になっている。より優れた和牛を供給するため支援を続けていく」と語る。
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 和牛子牛(生後300日前後)の取引価格が高騰を続け、関係者を悩ませている。高齢化と東日本大震災の影響で廃業する繁殖農家が相次ぎ、子牛の供給頭数が減ったからだ。子牛を成体に育てる肥育農家からは「高すぎる」と悲鳴が上がる。宮城では来年9月「全国和牛能力共進会(全共)」が初めて開催される。宮城は肉用牛の飼養戸数が全国4位、頭数は7位の畜産県だけに、生産現場や食肉市場に不安が広がる。(若柳支局・横山寛)


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2016年11月08日火曜日


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