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姿消した幻の名湯 宮城の記録集まとめる

「幻の温泉」を記録した県温泉歴史紀行

 宮城県内の温泉旅館などでつくる県温泉協会(大宮幸博会長)は、県民に親しまれながら姿を消した温泉の記録集「県温泉歴史紀行」をまとめた。戦前から戦後にかけて開湯し、現在までに廃業した40カ所を収録。庶民の暮らしぶりの変遷もうかがえる。
 明治から昭和初期に開湯した「戦前編」と、昭和20年代以降に開業した「戦後編」で構成。1927年に県警察部衛生課が作成した県鉱泉誌など公的記録のほか、ガイドブックや雑誌の記述を参考にした。
 このうち戦前編では、川崎町にあった新開温泉(かもしか温泉)や仙台市青葉区の定義温泉、折立温泉など12カ所を紹介。戦後編は釜房湖(川崎町)の近くにあったレジャー施設の釜房バリハイセンター、二口温泉(太白区)、薬莱温泉(加美町)など28カ所を網羅した。
 いこいの村栗駒(栗原市)や、かんぽの宿松島(東松島市)など、岩手・宮城内陸地震や東日本大震災による被災や地震の影響で湧出量が減少するなどし、営業をやめた温泉施設も盛り込んだ。
 協会事務局長の佐々木寿男さん(67)は「庶民のささやかな楽しみだった温泉の資料を残したかった」と話す。測量図や地図に温泉の名前が残っていた場所を訪問し、廃虚となった跡地を確認することもあった。
 かつて医療施設の役割が大きかった温泉は、徐々に身近なレジャーに変わっていった。「高度経済成長期に近くて安い沸かし湯の温泉が多く開業したが、所得向上で天然温泉の志向が高まり、利用者が減って廃業した施設も多い」と佐々木さんは移ろいを分析する。
 A5判、248ページで非売品。県図書館などで閲覧できる。連絡先は県温泉協会0224(34)1990。


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2016年11月08日火曜日


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