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ソメイヨシノから培養「秋田美桜酵母」花開く

伊藤謙商店の伊藤樹さんが秋田美桜酵母を使って醸造したどぶろく「きみまちの詩」

 秋田県総合食品研究センター(秋田市)がソメイヨシノの花びらから培養したビール用の天然酵母「秋田美桜(びざくら)酵母」の用途が広がっている。日本酒、ワイン、パンなどの商品が開発され、人気を集める。食品研は業者間のネットワークをつくり、発酵に関する情報の共有を図るなどして商品開発を後押しする。
 美桜酵母は果物の香り成分「エステル」を多く生成し、華やかな香りが特徴。
 食品研がビール以外の用途に向けた取り組みに力を入れ始めたのは2012年。秋田市のパン店から「パンに使えないか」と相談されたのが、きっかけだった。パンやピザ、うどん生地など20品を試作し、レシピ集を作成。関心のある業者には個別に発酵の助言などを行った。
 このうち、能代市二ツ井町の酒販店「伊藤謙商店」は国の特区制度を活用し、美桜酵母を発酵に用いたどぶろく「きみまちの詩(うた)」を製造している。
 昨春の発売直後から人気商品になった。同店の伊藤樹さん(33)は「発酵に時間がかかる分、甘味が増してまろやかな味になる。秋田市から買いに来る人もいる」と手応えを語る。月産60リットルと予約でほぼ完売するため、約200万円かけて設備を導入し、11月から生産量を2.5倍に増やす。
 ほかにも、同市二ツ井町の「きみ恋カフェ」は14年の開店以来、イースト菌の代わりに使った米粉パンなどを提供。由利本荘市の第三セクター岩城は今年4月、特産のプラムを使ったワインの新商品を発売した。
 きみ恋カフェで米粉パンの製造を担当する斉藤いほ子さん(53)は「美桜酵母は培養だけで3日かかる上、季節によって発酵具合が変わる。発酵の手順を少しずつ変えるなど試行錯誤を重ねている」と明かす。
 そうした声や利用業者の増加を受け、食品研は今年6月、「秋田美桜酵母ネットワーク」を設立。酒や菓子、農産加工品の製造、販売を目指す18の企業や団体が会員となり、発酵に関する情報を共有するほか、県内外への広報を合同で実施している。
 ネットワークの代表を務める食品研の進藤昌上席研究員(52)は「風味の良い美桜酵母は多くの用途に期待できる。各社の力を結集し、ブランド力の向上につなげたい」と話す。

[秋田美桜酵母]地ビールに地元の原料を使おうと、2000年春、能代市二ツ井町にある桜の名所「きみまち阪」のソメイヨシノの花びらから約1000の酵母を採取。最も香りや風味の優れた1種類を選んだ。02年に秋田県内の地ビールメーカー3社が発売した地ビールが商品化の第1号。


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2016年11月08日火曜日


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