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<ほっとタイム>声を聞ける気がして

えな子さんに電話をかける熊谷さん

◎つながらない携帯に電話

 携帯電話の呼び出し音は鳴っている。ただ、いつまで待っても応答はない。
 宮城県多賀城市山王の熊谷山里さん(68)がかける相手は、いとこの妻の遠藤えな子さん=当時(54)=。仙台市宮城野区蒲生で夫の久男さん=同(56)=、義母のみい子さん=同(80)=と3人で暮らしていた。東日本大震災の津波で全員が犠牲になった。
 えな子さんの携帯電話は震災の1週間後、本人と一緒に見つかった。親類が保管する。海水に漬かったせいで端末は壊れたまま。それでも回線は生きている。
 通信会社に連絡すればいいのだろうが呼び出し音が途絶えるのは寂しい。また元気な声を聞かせてくれるような気がして、つい電話のボタンを押してしまう。
 熊谷さんは全壊した自宅を新築することにし、10月に上棟式を開いた。屋根から餅をまき、新たな一歩を踏み出した。
 「えな子さんたちにも来てもらいたくて。電話するんだけれど、出ないんだ。寂しいね」(多賀城支局・佐藤素子)


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2016年11月09日水曜日


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