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<福島知事1期目>裏方経験生かし奔走

ブドウ畑を視察する内堀知事(左から2人目)=9月2日、福島県川内村

 福島県の内堀雅雄知事(52)は12日、1期目の折り返しを迎える。総務省から派遣され、副知事を経て知事に就任した内堀氏はこの2年、手堅く県政を運営し、県民の人気も高い。東京電力福島第1原発事故からの復興を引っ張る県政トップの実像を探った。(福島総局・高橋一樹)

◎チェック復興担う内堀県政(上)現場主義

<視察は3巡目に>
 「ここでどのぐらい品種を栽培しているのですか?」「(カリフォルニアの最上級ワイン)オーパスワンのようになるといいですねえ」
 内堀氏は9月初旬、原発事故の避難区域だった川内村を訪れた。阿武隈山地の斜面に広がるワイン醸造用のブドウ畑で、専門用語を交えながら矢継ぎ早に質問を繰り出した。
 「知事がここまでワインに関心が高いとは思っていなかった。とても熱心で知識も豊富だ」。対応した生産者は舌を巻いた。
 「現場主義」は2014年の知事選で掲げた公約の一つ。県内59市町村を就任1年目で全て回った。避難区域にも積極的に足を運び、首長会談と併せた視察は既に3巡目に入った。
 前任の佐藤雄平知事時代までは、県の出先機関に関係者を集めた懇談が中心だった。県幹部は「内堀さんは現地に直接出向き、首長とも一対一でやりとりをする」と解説する。
 現地視察に同行する機会が多い県の担当者も「県が事前に懇談のシナリオを用意することは基本的にはない。いつも話が弾んで予定時間を押す」と明かす。

<英語でアピール>
 総務官僚だった内堀氏は01年に県庁入り。06年から副知事を8年間務めた。県政全般に精通し、首長とのパイプも太い。与党県議は「裏方で積み上げてきたキャリアと経験を、知事として表舞台で発揮できるようになった」と分析する。
 県産品の風評払拭(ふっしょく)に向けたトップセールスにも積極的だ。首都圏を中心に、毎週のようにショッピングセンターなどの店頭に立つ。
 海外出張は5回を数える。今年6月に訪問したタイでは大手百貨店幹部らと面談し、モモ20トンの輸出取引の合意を華々しく発表。10月の訪米では、全国新酒品評会で金賞受賞蔵数が4年連続で日本一に輝いた日本酒など、福島の魅力を英語でアピールした。
 フットワーク軽く現地に足を運ぶ一方、再三の要請にかかわらず姿を見せない場所もある。住宅無償提供を来年3月で終える原発事故の自主避難者との交渉のテーブルだ。

<面会には応じず>
 打ち切りに不満を強める支援団体などが再三、知事との面会を求めているが、県は応じていない。内堀氏は記者会見などで「組織として対応している。避難者の声はさまざまな場で聞いている」とかわす。
 来年3月に山形市から福島県内に戻る予定の30代の母親は「唐突な決定で不信感を持った。知事が前面に立って説明してくれれば、納得する人も多いのではないか」と残念がる。
 前例のない原子力災害に見舞われ、県民感情は複雑に入り乱れた。県民が一体となって復興を前に進めるためには、トップが批判の矢面に立つ場面が増えることも想定される。
 14年の知事選で49万票を集めて圧勝した内堀氏。有権者が期待する「現場主義」は多岐にわたる。


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2016年11月09日水曜日


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