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<大川小訴訟>遺族控訴「苦しみの日々また」

仙台高裁に控訴し、厳しい表情で記者会見する原告遺族

 「ようやく話し合いのテーブルに着けると思ったのに…」。宮城県石巻市大川小津波訴訟で、市が判決2日後に控訴方針を示したことで、犠牲になった児童23人の遺族の期待は早々と裏切られた。市と県の控訴を受け、仙台高裁に9日、控訴した遺族の口からは、長引く法廷闘争への苦悩や不満、失意が漏れた。
 仙台市内で記者会見した原告遺族の代理人が冒頭、「責任を真摯(しんし)に受け止めず、遺族にさらなる苦悩を与えた。到底、承服できない」とする声明を読み上げた。
 6年生の長男大輔君=当時(12)=を亡くした原告団長の今野浩行さん(54)は「(判決で免責された)事前の備えと事後対応の不備は組織の問題。亡くなった先生たちを責める気持ちはない。教育委員会や校長の責任を認めてほしい」と訴えた。
 6年生の三男雄樹君=同(12)=を亡くした佐藤和隆さん(49)は「市と県は『判決が確定すると今後の学校防災に大きな影響を及ぼす』と言うが、学校管理下で子どもの命を守るのは誰なのか」と批判した。
 遺族は勝訴後、市議会や県議会に一審判決を受け入れるよう働き掛けてきた。3年生の一人息子、健太君=同(9)=を失った佐藤美広(みつひろ)さん(55)は「市と県には今でも控訴を取り下げてほしいと思っている。本音では子どものことで争うのは避けたい」と打ち明けた。
 「子どもを亡くし、傷付きながら震災後の5年8カ月を過ごしてきた。苦しみの日々がまた始まるのか」。5年生の次女千聖(ちさと)さん=同(11)=を失った紫桃(しとう)隆洋さん(52)は天を仰ぎつつ、「歴史を変えようとする権力の重圧を感じるが、救えた命だったと改めて訴えたい」と控訴審への決意を語った。


2016年11月10日木曜日


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