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漁業実習生を撮影 写真家登竜門で佳作に

「写真新世紀」で佳作を受賞した伊藤さん
伊藤さんの受賞作「Intern」の1枚

 国内有数の漁船基地の宮城県気仙沼市で東日本大震災後、インドネシアの漁業実習生をカメラに収め続けている男性がいる。同市の会社員伊藤和臣さん(43)。撮影は3年に及び、まとめた作品が若手写真家の登竜門である公募展「写真新世紀」(キヤノン主催)の本年度佳作に選ばれた。「異国で働く若者を身近に感じてほしい」と受賞を胸に思いを強くする。
 伊藤さんは2013年秋、三重、高知、宮崎のカツオ一本釣り船などに従事する実習生を気仙沼港で撮影し始めた。小学生の時からカメラが趣味。震災の津波で市内にあった自宅を失い「震災で命が失われた街にレンズを向けられない」と思っていた頃だった。
 カツオ船の実習生は乗船する3年間のうち、6〜11月は基地の気仙沼港で船員とともに船に寝泊まりし、多い時で100人以上が港や街に集う。「20歳前後の異国の若者が気仙沼の復興を支えている」と感じ入り、仕事を終えてくつろぐ姿やポートレートなど日常を撮影し続けている。
 「ぜひ形に残したい」と今年2月に高知県室戸市での研修風景も撮影し、公募に向けて約120枚を写真集「Intern(インターン)」にまとめた。
 過去最多の1723人が応募した第39回「写真新世紀」では8月、優秀賞7人、佳作14人が決まった。伊藤さんの作品は写真評論家清水穣さんが選んだ。「21作品で唯一のドキュメンタリー。『写真のための写真』が大半の中、知らない世界を教えてくれた」と声を掛けてもらったという。
 伊藤さんは15年3月に自宅を再建し、家族6人暮らし。「私を朗らかに受け入れてくれた実習生や、彼らを子どものようにかわいがる漁労長らの理解があって撮影できた」と感謝する。
 「おしゃれもするし、恋人も欲しい年頃の若者が異国で青春をささげ、母国の家族に仕送りしている。撮影を続け、船員の高齢化や資源減少で危機感を感じている現場のことももっと知ってほしい」と話す。作品は今月20日まで東京都写真美術館に展示される。


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2016年11月10日木曜日


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