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<福島知事1期目>本気度 伝わり切らず

東京電力幹部から廃炉の現状について説明を受ける内堀知事(左)=10月6日、福島第1原発

 福島県の内堀雅雄知事(52)は12日、1期目の折り返しを迎える。総務省から派遣され、副知事を経て知事に就任した内堀氏はこの2年、手堅く県政を運営し、県民の人気も高い。東京電力福島第1原発事故からの復興を引っ張る県政トップの実像を探った。(福島総局・高橋一樹)

◎チェック復興担う内堀県政(下)原発廃炉

 「到底容認できない。あり得ない。県民は大きなショックを受けている。文言を削除してほしい」
 7月中旬、東京・霞が関の経済産業省。福島県の内堀雅雄知事は面会した高木陽介副大臣に迫った。

<「石棺」に猛抗議>
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構は前日、福島第1原発の廃炉に向けた「戦略プラン」改訂版を発表。その中に、溶け落ちた核燃料をコンクリートで閉じ込める「石棺」の文言が記載されていた。「石棺」は燃料取り出しを断念するに等しい。
 高木氏は「石棺で処理をする考えは一切ない」と強調。石棺の問題点を指摘する趣旨だったと釈明しつつ、文言修正を機構に指示したことを明らかにした。その後、機構は文言を削除した修正版を策定した。
 原発事故の早期収束に向け、国に対し「もの申す知事」を体現した。一方で抗議に至った背景には、足元の危うさも垣間見えた。

<職員と認識に差>
 プラン公表に先立ち、機構は6月、県庁で原子力安全対策課の職員らに原案を説明。県職員は「誤解を受ける表現は避けるべきだ」と指摘したものの、文言の削除は求めなかった。「石棺」の表現が記載されていた事実は、対応した県職員からその上司である担当の部課長にすら伝えられていなかった。
 原発事故を巡っては今年、東京電力が事故直後に炉心溶融(メルトダウン)の公表を隠蔽(いんぺい)していたことも問題になった。内堀氏は9月中旬、広瀬直己社長を県庁に呼び、関係市町村の首長らと共に正確で迅速な連絡体制の確立を求めた。
 だが、問題が発覚したのは、再稼働の行方が注目される柏崎刈羽原発を抱える新潟県による調査が発端。福島県が事実関係の究明に乗り出すことはなかった。
 同県幹部は「国と東電が当事者意識を持って廃炉を進めているか監視するのが福島県の役割。県が主体的に事故の検証に関わるのは筋が違う」と説明する。
 知事選で公約に掲げた福島第2原発の廃炉も手詰まり状態が続く。県は年間27億円に上る第2原発の立地交付金の受け取りを事故の年からやめ、原発と決別する姿勢を明確にしている。

<国に再三の要請>
 内堀氏は東電幹部や経産相らに再三、要請しているが、廃炉の道筋ははっきりしていない。「後は国や政党の責任だ」(ベテラン県議)といった声もあり、公約の実現は事実上、国や東電任せとなっている。
 県は2040年ごろまでに、県内需要の全てを再生可能エネルギーで賄うことを目標に掲げる。ただ、内堀氏は県外原発の再稼働に関しては「地元の安心・安全を最優先に考えてほしい」と述べるだけ。被災県として脱原発をリードする意志はうかがえない。
 環境エネルギー政策研究所(東京)の飯田哲也所長は「国や東電への抗議姿勢はポーズにすぎないように見える。廃炉が画に描いた餅にならぬよう、県として問題提起することも必要だ」と指摘する。


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2016年11月10日木曜日


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