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<TPP衆院通過>拙速採決 生産者ら不信感

 環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案が衆院を通過した10日、東北の生産者らは先行きを不安視し、曲折した国会審議に不信感を募らせた。米大統領選ではTPP脱退を掲げるトランプ氏が勝利し、協定発効は困難な情勢に。不透明感が増す中、生産現場の声は置き去りにされた。
 「米国の批准が不透明さを増す中での衆院通過は遺憾だ。拙速な採決は許しがたい」。宮城県農協中央会の石川寿一会長は談話を発表し、この日の採決を厳しく批判した。
 大崎市の和牛繁殖農家宮沢紀夫さん(63)は「米国がどうなるのか分からない。何が良いのか、悪いのかすら国会は示していない。政治が機能していないのではないか」と不信感をあらわにした。
 衆院特別委員会での審議では農産品に与える影響が焦点の一つとなったが、輸入米の売買同時入札(SBS)方式を巡る「調整金」の問題が浮上。山本有二農相の度重なる失言もあり、議論は深まらなかった。
 秋田市のコメ農家伊藤幸成さん(68)はトランプ氏勝利を歓迎しつつ「衆院でもっと議論してほしかった。政府は国産米価格への影響がないとしているが、輸入米に引きずられ、国産米も安くなるのではないか」と厳しい見方を示した。
 「不満よりも不安が先行している」と話すのは寒河江市のコメ農家土屋喜久夫さん(63)。安価な外国産米が入ってくることを想定し「影響を最小限に抑える必要がある。自分も近隣農家も顧客とのつながりを深め、個別の販路開拓に必死だ」と話す。
 東日本大震災で被災した農家でつくる井土生産組合(仙台市若林区)の鈴木保則組合長(55)は「何の説明もなく農家をないがしろにしている。TPPが進めば生産意欲がしぼむ」と復興への悪影響を懸念した。
 輸出が好調な青森県産リンゴ。弘前市のリンゴ農家鎌田容子さん(69)は「不利な影響以上に市場開放をチャンスにするため、自分たちも変わる必要がある。跡を継ぐ人たちのためにも挑戦を続ける」と将来を見据えた。


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2016年11月11日金曜日


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